AI概要
【事案の概要】 派遣会社である被告F社との間で有期労働契約を締結し、被告B社(海外需要開拓事業を行う株式会社)に派遣されて就労していた原告(女性)が、①被告B社の専務執行役員であった被告Dが歓送迎会の二次会後に駅のホームで原告の肩に手を回すなどのセクハラ行為をしたとして被告Dに対し慰謝料400万円を、②被告B社の専務取締役であった被告Cが懇親会で監査役や自身と映画等に行くことを内容とするくじ引きを女性従業員らに引かせたことがセクハラに該当するとして被告Cに対し慰謝料400万円を、③被告B社及び被告F社が就業環境配慮・整備義務を怠ったとして各慰謝料を、④被告B社が原告に係る労働者派遣契約を更新しなかったことが不当労働行為に該当するとして慰謝料200万円を、⑤被告Eが不当な目的で派遣契約不更新を指示したとして慰謝料400万円を、それぞれ請求した事案である。 【争点】 (1) 被告Dによるセクハラ行為の有無、(2) 被告Cによるくじ引き等の違法性、(3) 被告B社の就業環境配慮・整備義務違反の有無、(4) 被告F社の就業環境配慮・整備義務違反の有無、(5) 労働者派遣契約の不更新等が不当労働行為に該当するか、(6) 被告Eが不当な目的で不更新を指示したか。 【判旨】 争点(1)につき、裁判所は、二次会直後の原告とKとのLINEのやり取り(原告が「肩触られたくらい」と述べたもの)を重要な客観的証拠として、被告Dが駅のホームで原告の肩に複数回触れた事実を認定した。ただし、電車内で手を握ったとの主張については、LINEに裏付けがなく、原告が被告B社の調査時に過大な被害申告をしていたことから認定しなかった。慰謝料は5万円と認定した。 争点(2)につき、くじ引きは専務取締役が企画したもので、派遣労働者である原告が拒否困難な状況下で業務と無関係の行事への参加を実質的に強制するものであり、監査役への接待等を主目的としたサプライズ企画と認定し、人格権侵害の違法行為と判断した。被告Cが反省を一切示さず今後も同様のイベントを行う所存と供述したことも考慮しつつ、くじの内容が実現されなかったことから慰謝料は5万円とした。 争点(3)(4)につき、被告B社は通報後速やかに調査を実施し弁護士の助言に基づき対応しており、義務違反は認められないとした。被告F社についても、原告が具体的措置を求めておらず義務違反は否定した。 争点(5)につき、原告が労働組合の代表として主導的に関与した組合結成メールの株主企業への送信は就業規則違反に当たり、派遣契約不更新には理由があるとして不当労働行為意思を否定した。争点(6)も同様に不法行為を否定した。 以上より、被告D及び被告Cに対し各5万円の慰謝料請求を認容し、その余の請求をすべて棄却した。