損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(原告)が、同性の事実婚関係にあった控訴人(被告)及び控訴人と後に婚姻した1審相被告に対し、控訴人が1審相被告と性的関係を持ったことにより同性の事実婚関係が破綻したと主張して、共同不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審である。控訴人と被控訴人は平成21年3月から交際を開始し、平成22年2月から約7年間同居していた。平成26年12月には同性婚が認められている米国ニューヨーク州で婚姻登録証明書を取得して結婚式を行い、平成27年5月には日本国内でも結婚式・披露宴を開催した。さらに2人で子を育てる計画を立て、控訴人は第三者からの精子提供を受けるなどしていた。原審は控訴人に対し慰謝料100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円の支払を命じ、控訴人が控訴、被控訴人が附帯控訴した。 【争点】 ①同性カップルの関係について不法行為法上保護される利益が認められるか、②控訴人の行為が被控訴人の権利又は法律上保護される利益を侵害したか、③因果関係・損害額が主な争点であった。控訴人は、同性カップルには貞操義務が生じず法的保護に値する段階にはないこと、同性婚の問題は立法で解決すべきであること、1審相被告との間で挿入を伴う性行為はなくペッティングは不貞行為に当たらないこと等を主張した。被控訴人は、異性と同性とで法的保護に差異を設けることは性別による差別であると主張した。 【判旨】 控訴棄却・附帯控訴棄却。裁判所は、控訴人及び被控訴人の関係について、単なる同居ではなく、同性同士であるため法律上の婚姻届出はできないものの、できる限り社会観念上夫婦と同様と認められる関係を形成しようとしていたものであり、婚姻に準ずる関係にあったと認定した。同性カップルにおいても両者間の合意により貞操義務等を負うことは許容されると解した上、同性婚を認める国・地域が25を超え、登録パートナーシップ制度を採用する国・地域が世界の約20%に上るなどの社会情勢も考慮し、同性同士であることのみをもって法律上保護される利益を否定できないと判断した。控訴人が1審相被告との間で複数回のペッティングに及んだことは、挿入を伴わなくとも性的関係と認められ、本件関係の解消をやむなくさせる不法行為に該当するとした。損害額については、被控訴人の信頼が裏切られた衝撃が大きい一方、性的関係が短期間であること、被控訴人の態度にも一因があること、法律上の婚姻ではなく婚姻に準ずる関係であること等を総合し、慰謝料100万円及び弁護士費用10万円を相当と認め、原判決を維持した。