AI概要
【事案の概要】 特定適格消費者団体である原告が、東京医科大学を運営する学校法人である被告に対し、平成29年度及び平成30年度の医学部医学科の入学試験において、出願者への事前の説明なく、女性・浪人生・高校学校等コード51000以上の者を不利に扱う得点調整(本件得点調整)が行われたことが不法行為に該当するとして、消費者裁判手続特例法に基づく共通義務確認の訴えを提起した事案である。本件得点調整は、二次試験の小論文の点数に1未満の係数を乗じた上で、現役・一浪・二浪の男性受験生にのみ加点し、女性受験生や三浪以上の男性受験生等には加点しないというものであった。原告は、入学検定料・受験票送料・送金手数料・出願書類郵送料等の受験費用及び旅費・宿泊費の損害賠償を求めた。 【争点】 (1) 共通性・多数性の要件を満たすか、(2) 簡易確定手続における支配性の要件を満たすか、(3) 被告が本件得点調整について事前の説明義務を負うか、(4) 説明義務違反と損害との間に相当因果関係が認められるか。被告は、受験生の出願動機は個々に異なるため共通性・多数性を欠くこと、本件得点調整を知っていても受験した可能性が高いこと、採点基準の開示義務はないこと等を主張した。 【判旨】 請求の大部分を認容。裁判所は、まず共通性・多数性について、本件得点調整の実施と事前説明の欠如という事実関係が全対象消費者に共通しており、女性受験生だけでも各年度1000名以上に上ることから、いずれの要件も充足すると判断した。支配性については、入学検定料等の受験費用は定型的で書証による審理が容易であるとして支配性を肯定したが、旅費・宿泊費は個々の消費者の事情により異なる部分が大きく簡易確定手続で適切かつ迅速に判断することが困難であるとして却下した。説明義務については、私立大学も公の性質を有し、憲法14条1項や大学設置基準2条の2の趣旨を尊重する義務を負うところ、募集要項等で属性の考慮を事前に開示していなかったにもかかわらず密かに得点調整を行っていたことは説明義務違反として違法であると認定した。因果関係については、属性による不利益な得点調整の存在が事前に判明していれば出願しないと考えることは極めて自然であり、対象消費者の大部分について因果関係が推認されるとした。