児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,徳島県青少年健全育成条例違反,東京都青少年の健全な育成に関する条例違反被告事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30あ1757
- 事件名
- 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,徳島県青少年健全育成条例違反,東京都青少年の健全な育成に関する条例違反被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2020年3月10日
- 裁判種別・結果
- 判決・棄却
- 原審裁判所
- 広島高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 被告人は、児童買春・児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ、徳島県青少年健全育成条例違反及び東京都青少年の健全な育成に関する条例違反の罪で起訴された。弁護人は、平成29年法律第72号(「刑法の一部を改正する法律」、以下「本法」)附則2条2項が、改正前に親告罪であった強制わいせつ罪等について施行前の行為にも遡って非親告罪として扱うことを定めている点が、遡及処罰を禁止した憲法39条に違反するなどと主張して上告した。 【争点】 本法附則2条2項が、本法施行前に犯された強制わいせつ罪等(改正前は親告罪)について、告訴がなくても公訴を提起できるとした経過措置は、遡及処罰を禁止した憲法39条に違反するか。また、改正前刑法176条の「わいせつな行為」の概念が不明確で違憲か。 【判旨】 最高裁は、裁判官全員一致の意見で上告を棄却した。まず、親告罪の制度は犯人の訴追・処罰に関する被害者意思の尊重の観点から告訴を公訴提起の要件としたものであり、親告罪を非親告罪とする本法は、行為時点における当該行為の違法性の評価や責任の重さを遡って変更するものではないとした。そして、本法附則2条2項は、施行の際既に法律上告訴がされることがなくなっているものを除き、施行前の行為についても非親告罪として扱うこととしたものであり、被疑者・被告人となり得る者につき既に生じていた法律上の地位を著しく不安定にするものでもないと判断した。以上から、本法附則2条2項は憲法39条に違反せず、その趣旨に反するとも認められないとし、大法廷判決(最大判昭和25年4月26日、最大判昭和30年6月1日)の趣旨に徴して明らかであるとした。改正前刑法176条の「わいせつな行為」の概念が不明確との主張についても、不明確ということはできないとして退けた。その余の上告趣意も、実質は単なる法令違反の主張であり、上告理由に当たらないとした。