AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社LIFULL)は、橙色(RGB: R237, G97, B3)の単色のみからなる色彩商標について、第36類「インターネット上に設置された不動産に関するポータルサイトにおける建物又は土地の情報の提供」を指定役務として商標登録出願をしたが、特許庁から商標法3条1項6号(需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識できない商標)に該当するとして拒絶査定を受けた。原告は拒絶査定不服審判を請求したが、審判でも請求不成立の審決がなされたため、その取消しを求めて知的財産高等裁判所に出訴した。原告は、不動産総合ポータルサイト「LIFULL HOME'S」において13年間にわたり橙色を一貫して使用してきた実績、テレビCMでの使用、年間100億円超の売上高、アンケート調査での高い認識率等を主張した。 【争点】 本願商標(橙色の単色)が商標法3条1項6号に該当するか。具体的には、(1)本願商標が本来的に自他役務の識別力を有するか、(2)原告の使用により識別力を獲得したか、が争われた。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本来的識別力について、橙色はJIS規格にも例示されるありふれた色彩であり、広告やウェブサイトのデザインで前向きで活力のある印象を与える色彩として一般に利用されていること、不動産業者のウェブサイトでもロゴマークや文字・アイコン等を装飾する色彩として普通に使用されていること、原告ウェブサイトでも橙色は文字・図形等と結合して使用されており色彩のみが独立して使用されているとはいえないことから、本来的な識別力を否定した。使用による識別力の獲得についても、橙色の使用態様はロゴマーク等の色彩としての使用にとどまること、テレビCMでも橙色のみが識別標識として強調されているとはいえないこと、売上高が橙色の周知著名性に直結するものではないことを指摘した。さらにアンケート調査については、第1次調査は回答者を原告サイト名称の認識者に限定し正解をほのめかした状態での回答であること、第2次調査は原告関連の選択肢が2つ用意され偶然選択の確率が高まる設計であり認識率55%もさほど高くないことから、いずれも採用できないとした。以上を総合し、本願商標は使用により自他役務識別力を獲得したとは認められず、商標法3条1項6号に該当するとした審決の判断に誤りはないと結論づけた。