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【事案の概要】 原告(株式会社総本家駿河屋)は、和菓子の老舗「駿河屋」の後継者として営業する会社である。被告(株式会社総本家駿河屋〔旧千鳥屋宗家株式会社〕から商標権を譲り受けた会社)は、「総本家駿河屋」の標準文字からなる本件商標(指定商品:最中)の商標権者である。本件商標は、旧駿河屋の民事再生手続においてスポンサー候補であった千鳥屋宗家の子会社が出願・登録したものであるが、事業譲渡契約は実行前に破棄された。原告は、本件商標が引用商標「駿河屋」(指定商品:羊羹)と類似し商標法4条1項11号に該当するとして、特許庁の無効不成立審決の取消しを求めた。 【争点】 (1) 引用商標「駿河屋」が本件商標の登録査定時において周知性を有していたか (2) 本件商標「総本家駿河屋」から「駿河屋」の文字部分を要部として抽出できるか (3) 本件商標と引用商標の類否 (4) 本件商標の商標法4条1項7号(公序良俗違反)該当性 【判旨】 請求認容(審決取消し)。裁判所は、旧駿河屋が昭和19年の設立以来約70年にわたり「駿河屋」の商標を使用して羊羹等を販売し、直営店・百貨店・量販店等で広く展開していた実績に加え、旧駿河屋の破産後も駿河屋会の会員や原告が「駿河屋」の商標を継続使用していた事実から、登録査定時において「駿河屋」の商標は近畿地方を中心に和菓子のブランド名として広く認識され、全国的にも相当程度認識されていたと認定した。その上で、本件商標「総本家駿河屋」は「総本家」と「駿河屋」の結合商標であるところ、「総本家」は普通名詞にすぎず、周知な「駿河屋」の文字部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与えるから、「駿河屋」を要部として抽出できると判断した。本件商標の要部「駿河屋」と引用商標は、称呼(スルガヤ)及び観念(和菓子のブランド名としての駿河屋)が同一であり、全体として類似するから、本件商標は商標法4条1項11号に該当するとして、これを否定した審決を取り消した。