特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、「養殖魚介類への栄養補給体及びその製造方法」に関する共有特許権(特許第3999585号)を被控訴人Yと共有し、「透析機洗浄排水の中和処理用マグネシウム系緩速溶解剤」に関する甲4特許権(特許第5227537号)を単独で有する控訴人が、被控訴人ら(被控訴人Y及び被控訴人会社)に対し、被控訴人会社による「ケアシェル」(カキ殻粉末と水酸化マグネシウムを混練固化した養殖用栄養補給体)の製造販売が共有特許権の直接侵害(均等侵害を含む)及び甲4特許権の間接侵害に当たるとして、差止め・廃棄・損害賠償等を求めた事案の控訴審である。控訴人は当審で、被控訴人らが被告製品を共同製造しているとの主張や、中国企業への技術指導に基づく民法190条による返還請求等を追加した。原審は控訴人の請求をいずれも棄却した。 【争点】 (1) 被告製品が共有特許発明の技術的範囲に属するか(均等侵害の成否)、(2) 被控訴人会社が被告製品を製造したと認められるか、(3) 甲4特許権に対する間接侵害の成否、(4) 特許権侵害不成立の場合の不法行為・不当利得の可否、(5) 中国企業への通常実施権許諾等の可否、(6) 民法190条による返還請求の可否、(7) 技術指導行為を理由とする不法行為・不当利得の可否、(8) 被控訴人Yの会社法429条1項に基づく責任の有無。中心的争点は、被控訴人会社が被告製品の製造主体といえるか否かであった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、控訴を棄却し、当審で追加された請求もいずれも棄却した。争点2につき、被告製品を製造していたのは被控訴人Yのみであり、被控訴人会社が製造していたとは認められないとした。控訴人が主張する被控訴人会社の在庫に「しおさい」があること、原料調達を行っていること、建物賃料の分担、機械類の共有使用、従業員の共同作業等の事情はいずれも共同製造の根拠とはならないと判断した。争点3につき、甲4特許発明は物の発明であり方法の発明とは認められず、特許法101条5号の間接侵害は成立しないとした。争点4につき、本件技術について法律上保護に値する利益の侵害は認められないとした。争点5〜7につき、本件業務委託契約に基づく技術指導行為は共有特許権の侵害に該当しないとした。被控訴人Yは共有特許権者として実施権原を有し、被控訴人会社は製造主体ではないことから、控訴人の請求にはいずれも理由がないと結論付けた。