AI概要
【事案の概要】 本件は、名称を「情報管理方法、情報管理装置及び情報管理プログラム」とする特許(特許第5075201号)の特許権者である原告(株式会社コムスクエア)が、被告の請求に基づく特許無効審判において請求項1及び7に係る発明を無効とした審決の取消しを求めた訴訟である。本件特許は、ペイ・パー・コール方式の広告における電話番号(識別情報)を広告情報ごとに動的に割り当て、一定期間経過後に再利用を可能とすることで識別情報の資源の枯渇を防止する技術に関するものである。審決は、本件発明3(請求項7・情報管理プログラム)が引用発明(米国特許出願公開第2005/0251445号に記載された発明)と同一であると判断して無効としていた。 【争点】 主な争点は2点ある。第1に、識別情報を送出不可能な状態へ変化させる「一定期間」の始期について、引用発明における「表示されてから」の意味が、本件発明の「ウェブサーバに向けて識別情報が送出されてから」と同一といえるか否か(取消事由1)。原告は、引用発明の「表示」はユーザ端末に情報が画面に映されることを意味し、本件発明のサーバ側での「送出」とは異なる技術思想であると主張した。第2に、引用発明において「一定期間」の間に識別情報が「送出可能な状態」にあることが開示されているか否か(取消事由2)。原告は、引用発明では広告に電話番号が「割り当て得る」状態にすぎず、「送出可能な状態」とは異なると主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。取消事由1について、裁判所は、引用発明の明細書における「表示(display)」の用法を検討し、ユーザ端末の画面に情報を映す意味のみならず、システムが要求パートナーのウェブサイトに対して情報を提示させるために送出するという意味をも含むと認定した。引用発明の課題(電話番号の節約・再利用によるコスト削減)に照らせば、「一定期間」の始期をユーザ端末での表示時点に限定する技術的必要性はなく、仮にそう解すると通信エラー時に一定期間が進行せず課題が解決されない不都合も生じるとした。取消事由2について、裁判所は、引用発明のジャスト・イン・タイム方式では、ペイ・パー・コールの架電トラッキングのために、同じ検索エンジンのウェブサイトの検索に対して同一の電話番号を再度割り当てて表示することが当然の前提であり、所定期間中の電話番号は送出可能な状態が継続していると認定した。以上から、本件発明3と引用発明との間に相違点は認められず、審決の判断に誤りはないと結論づけた。