AI概要
【事案の概要】 アパレルブランド「UNITED TOKYO」等を運営する原告(株式会社TOKYO BASE)が、元従業員である被告ら2名に対し、①原告の従業員に対する違法な引抜行為、②原告の営業秘密(従業員名簿・評価書等)の不正使用を主張し、民法709条に基づく損害賠償(各160万円)及び不正競争防止法3条1項に基づく情報使用の差止めを求めた事案である。被告Aは原告の人材開発チームのマネージャー、被告Bは執行役員兼UT/CT商品部長であったが、退職後、サザビーリーグの100%出資子会社に転じ、商品部のデザイナー2名も同社に転職した。 【争点】 ①被告らが原告の従業員に対し社会的相当性を逸脱する違法な転職勧誘(引抜行為)をしたか、②被告らが原告の営業秘密である従業員の個人情報を不正に使用したか、③損害の有無及び額。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。 争点①について、職業選択の自由の保障の観点から、従業員が同僚に対し転職勧誘を行っても直ちに違法とはならず、著しく背信的な方法で社会的相当性を逸脱した場合に限り不法行為を構成するとの規範を示した。その上で、勧誘対象は原告従業員約160名のうちわずか数名であり、退職したデザイナー2名も管理職に相当する地位にはなかったこと、退職申出から退職まで3か月の猶予があり代替人員の補充も実際に行われたこと、退職前後の売上高は前年同期比20%以上増加しており業績悪化は認められないこと、原告が給与倍増等の条件を提示して慰留したにもかかわらず退職者らが自発的意思で退職したこと等を総合し、本件引抜行為は許容される勧誘の範囲にとどまり、社会的相当性を逸脱するものではないと判断した。 争点②について、被告らが勧誘対象者の人柄・能力を同僚として当然に把握していたと認められ、従業員名簿や評価書を利用して勧誘を行った事実を認めるべき証拠は存在しないとして、営業秘密の不正使用の主張を退けた。