道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2さ1
- 事件名
- 道路交通法違反被告事件に係る略式命令に対する非常上告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 裁判年月日
- 2020年3月12日
- 裁判種別・結果
- 判決・破棄自判
- 裁判官
- 山口厚、池上政幸、小池裕、木澤克之、深山卓也
- 原審裁判所
- 盛岡簡易裁判所
AI概要
【事案の概要】 被告人は、令和元年8月7日、盛岡市内の道路において、(1)道路標識により左折方向への車両の進行が禁止されている場所で、標識を確認すべき注意義務があるのにこれを怠り、過失により普通乗用自動車(軽四)を運転して左折進行した通行禁止違反、及び(2)普通自動車仮運転免許を受けた者でありながら、練習のため運転する際に運転者席の横に法令で定めた有資格者を同乗させなかった仮免許条件違反の2つの事実で起訴された。盛岡簡易裁判所は両事実を認定し、罰金4万7000円の略式命令を発付し、同命令は令和元年11月6日に確定した。これに対し、検察官が非常上告を申し立てた。 【争点】 (1)の通行禁止違反の行為は道路交通法125条1項の「反則行為」に該当するところ、被告人には同条2項各号の事由がなく「反則者」に該当するため、同法130条により反則行為に関する処理手続(通告・納付期間経過)を経なければ公訴を提起できないにもかかわらず、盛岡区検察庁の検察事務官がこの手続を経由せずに公訴を提起した点が、法令違反に当たるか否かが争点となった。 【判旨(量刑)】 最高裁第一小法廷は、裁判官全員一致の意見で非常上告に理由があると認め、原略式命令を破棄した。(1)の通行禁止違反については、被告人が「反則者」に該当し、反則行為の処理手続を経ずに公訴が提起されたものであるから、刑訴法338条4号により公訴を棄却した。(2)の仮免許条件違反については、道路交通法118条1項8号、87条2項後段に該当するとして、所定刑中罰金刑を選択し、被告人を罰金4万円に処した。罰金を完納できないときは5000円を1日に換算した期間、労役場に留置するとした。本判決は、交通反則通告制度の趣旨を確認し、反則行為について所定の手続を経ずに公訴を提起した場合には公訴棄却の判決をすべきであり、これをしなかった原略式命令は法令に違反し被告人のため不利益であることが明らかであると判示した重要な判例である。