自衛隊出動差止め等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 平成27年に成立した平和安全法制関連2法(平和安全法制整備法及び国際平和支援法)について、原告ら(市民)が、同法制の制定に係る内閣及び国会の各行為(閣議決定・立法行為)は憲法9条等に違反すると主張し、(1)行政事件訴訟法3条7項に基づく差止めの訴えとして、存立危機事態における防衛出動、後方支援活動・協力支援活動としての物品又は役務の提供、駆け付け警護等の実施、武器等防護の実施の各差止めを求めるとともに、(2)国家賠償法1条に基づき、上記各行為により平和的生存権、人格権、憲法改正・決定権が侵害され精神的苦痛を受けたとして、各自10万円の慰謝料の支払を求めた事案である。 【争点】 (1)差止めの訴えの適法性(処分性の有無、原告適格の有無) (2)平和安全法制関連2法の制定行為が憲法9条等に違反し国賠法上違法か (3)原告らの損害の有無 【判旨】 裁判所は、差止めの訴えをいずれも却下し、国家賠償請求をいずれも棄却した。 差止めの訴えについて、裁判所は、防衛出動、後方支援活動等としての物品提供、駆け付け警護、武器等防護の各行為はいずれも内閣総理大臣又は防衛大臣の自衛隊に対する命令ないし自衛隊の事実行為であり、国民に何らかの不利益な効果の受忍を直接的に義務付けるものではないから、行訴法3条7項の「処分」に該当せず処分性を欠くと判断した。原告らの予備的主張(処分性を前提に原告適格を主張する構成)についても、これらの行為により原告らの権利が必然的に侵害されるとはいえず原告適格を欠くとした。 国家賠償請求について、裁判所は、平和的生存権は憲法前文の理念ないし目的としての抽象的概念にとどまり具体的権利として保障されたものとは解されないとした。人格権侵害の主張についても、平和安全法制関連2法の成立後、日本が他国等から武力攻撃の対象とされた事実は認められず、原告らの生命・身体の安全が侵害される具体的危険が発生したとは認め難いとした。原告らが抱く不安や精神的苦痛については、自らの信条と反する立法等が行われたことによる精神的苦痛は間接民主制の下で不可避的であり社会通念上受忍されるべきものとして、法律上保護された利益の侵害には当たらないと判断した。