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【事案の概要】 平成31年4月7日執行の兵庫県議会議員選挙(伊丹市選挙区)に立候補した原告が、供託金60万円を没収されたことについて、被告(兵庫県)に対し、不当利得返還請求及び国家賠償請求を行った事案である。原告は平成30年12月に大阪市から尼崎市に転入し、翌年1月に宝塚市に転入したため、兵庫県内の同一市町村に3か月以上住所を有しておらず、公職選挙法上の住所要件を満たさなかった。原告は事前審査の段階で被選挙権がないことを説明されたが、立候補を決断した。選挙では2992名が原告に投票したものの、被選挙権がないとして全票が無効とされ、供託金が没収された。 【争点】 ①被選挙権のない原告の立候補届出を受理し供託金を徴収したことが法律上の原因のない利得に当たるか、②兵庫県内の複数市町村に連続して3か月以上居住していれば住所要件を満たすと解すべきか、③供託金没収が国家賠償法上違法か。 【判旨】 請求をいずれも棄却した。争点①について、公職選挙法は立候補届出の際に住所要件に関する資料提出を義務付けておらず、選挙長には住所要件の実質的審査権限はないとした。被選挙権の有無は開票管理者が投票の効力を決定する際に判断すべきものであり、書類の形式審査に不備がなければ届出を受理しなければならないから、受理義務がなかったとの原告主張は理由がないとした。争点②について、公職選挙法の住所要件は「引き続き3か月以上市町村の区域内に住所を有する」ことを求めており、同一市町村に3か月以上の居住が必要であるとした。住所要件は地縁的社会としての地方公共団体の特性に基づく合理的な制約であり、市町村が住民自治参加の基盤であることから市町村単位の要件には合理性があるとした。都道府県知事に住所要件がないことについても、首長と議員では求められる資質が異なり差異には合理性があるとした。争点③について、供託金没収は適法であり、国家賠償法上の違法は認められないとした。