AI概要
【事案の概要】 本件は、「シート状の積層体」に関する特許(特許第3877000号)の特許権者である原告(株式会社フクヨー)が、被告(株式会社Life-do.Plus)の請求に基づく特許無効審判において、特許庁が本件特許の請求項1に係る発明を無効とする審決をしたことに対し、その取消しを求めた審決取消訴訟である。本件訂正発明は、ウェットティッシュ等のシート状物を折り畳んで連続取出し可能に積層した積層体に関し、第1の中間片、第2の中間片、第1の折片に加え、第1の中間片の幅の1/2未満かつ第1の折片より短い幅の第2の折片を設けることで、包装体の大きさを変えずにより大きなシート状物を積層できる構造を特徴とする。本件審決は、本件訂正発明が甲6(特開平11-56666号公報)記載の発明及び甲7記載の技術事項に基づき当業者が容易に発明できたものであり、進歩性を欠くと判断した。 【争点】 主な争点は、本件訂正発明と甲6記載の発明との相違点1(第2の折片の幅に関する構成)の認定及び判断の誤りの有無である。具体的には、(1)甲6における「折り返し片11f、12f」(第2の折片に相当)の幅が第1の中間片の幅の1/2未満かつ第1の折片の幅より短いといえるか、(2)甲6の発明が「第1の中間片の幅が所望とする積層体の幅寸法となるように調整する」構成を備えているかが争われた。原告は、甲6の発明では折り返し片の幅は中心線上に達する(1/2)幅で固定されており、幅を調整する発想がないと主張した。 【判旨】 知財高裁は原告の請求を棄却した。まず相違点1の認定について、原告が主張する発明の課題や解決手段を含めた相違点の認定は、特許請求の範囲の記載に基づく発明の要旨認定の手法として採用できないとした。次に相違点1の判断について、甲6の【0026】の「中心線Yを越えず且つこれに接近した折り返し寸法」との記載及び図3(A)の図示から、折り返し片11f、12fの幅は上部中間片の1/2に到達しない(1/2未満)値であると認定し、本件訂正発明の「第1の中間片の幅の1/2未満で、かつ、第1の折片の幅より短い幅」の構成は甲6に開示されていると判断した。また、「調整」の構成についても、甲6の発明において折り返し片の寸法設定により上部中間片の幅を所望の積層体幅とすることは構造上自明であるとして、相違点1は実質的な差異ではないとした本件審決の判断に誤りはないと結論づけた。