(事件名なし)
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「アンテナ」とする特許権(特許第5213250号)を共有する控訴人(一審原告)が、被控訴人(一審被告・原田工業株式会社)が製造・譲渡等をしている車載用アンテナが上記特許の請求項1〜6に係る発明の技術的範囲に属すると主張して、特許法100条1項に基づく製造等の差止め、同条2項に基づく製品の廃棄、及び特許権侵害の不法行為又は不当利得に基づく1489万8400円の損害賠償を求めた事案の控訴審である。原審(東京地裁)は被控訴人製品の製造・販売等は特許権を侵害しないとして控訴人の請求を棄却し、控訴人がこれを不服として控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)被控訴人製品の突出部が特許の構成要件である「給電用筒状部」に該当するか(構成要件1A・1Dの充足性)、(2)被控訴人製品のサブアーム部の上端部が「メインアーム部の外側面よりも外方向に突出した係止爪」をなしているか(構成要件1F・1Gの充足性)、(3)文言侵害が成立しない場合に均等侵害が成立するかである。控訴人は、被控訴人製品の突出部は車両取付け過程で給電線が通されるから「給電用筒状部」に該当し、またサブアーム部の上側の縁が係止爪を形作っていると主張した。均等侵害については、本件発明の本質的部分はサブアーム部の下端部を支点とした外向きの回転力にあり、被控訴人製品のフック部は付加的要素にすぎないと主張した。 【判旨】 知財高裁は控訴棄却とした。構成要件1F・1Gの充足性について、「サブアーム部の上端部」とは「サブアーム部の下端部」と対をなす文言であり、サブアーム部の上の先端を意味すると解すべきところ、被控訴人製品ではサブアーム部の上端部にフック部が位置し、爪部は中間付近に位置しているため、構成要件を充足しないと判断した。均等侵害の第1要件(本質的部分)については、出願前公知の引用発明1との対比から、本件発明の本質的部分は「可撓性樹脂で成形されたサブアーム部の上端部が上端に向かって肉厚が増加する係止爪からなり、抜け方向に荷重が加わった際にサブアーム部が下端部を支点として外側に拡がる」構成にあると認定した。被控訴人製品はフック部がサブアーム部の外側への拡がりを阻止するため、この本質的部分を備えておらず、均等の第1要件を充足しないとした。