AI概要
【事案の概要】 原告(サムコ株式会社)は、「基板保持装置」に関する発明について特許出願したが、拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求した。特許庁は審判請求不成立の審決をしたため、原告がその取消しを求めた審決取消訴訟である。本願発明は、静電保持機構が内蔵された基板載置台にリフトピンと流体溝・流体孔を設け、基板を吸引するためのガスの吸引と冷却用流体の供給を切り替える切替バルブを備えた基板保持装置に関するものであり、反りのある半導体ウエハであっても確実に基板台に固定できる点に特徴がある。審決は、本願発明は引用文献1(特開2004-134437号)記載の発明に引用文献2(特開平7-231034号)記載の技術を適用することで容易に想到できるとして、進歩性を否定した。 【争点】 本願発明の進歩性の有無が争点である。具体的には、(1)引用文献1を主引用例とすることの適否、(2)引用文献1記載の発明に引用文献2記載の技術を組み合わせる動機付けの有無が争われた。原告は、引用文献1には反りのあるウエハを密着させるという課題の記載がなく主引例として不適切であること、引用文献1の「排出」は本願発明の「吸引」とは異なること、引用文献1の給排ポートは昇降ピンで略埋められているため吸引できないこと等を主張した。 【判旨】 知財高裁は原告の請求を棄却した。主引例の適格性について、引用発明は本願発明と技術分野が同一であり、多くの構成で一致することから、進歩性判断の基礎となる公知の技術的思想であるとした。組み合わせの動機付けについては、半導体の各製造工程を経るうちにウエハに多少の反りが生じることや、反りが静電吸着不安定等の不具合を招くことは当業者の技術常識であったと認定し、静電吸着による固定しか記載されていない引用発明にはウエハの反りによる課題があることを当業者は認識し得るとして、引用文献2の差圧利用による仮固定技術を組み合わせる動機付けがあると判断した。また、給排ポートが略埋められた状態でもヘリウムガスの供給・排気が行われていることから気体の流通は可能であり、吸引構成への変更に支障はないとした。