情報非公開決定処分取消等請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 原告は、松原市情報公開条例に基づき、松原市長に対し、平成29年度に一般廃棄物の収集運搬業を無許可で行っていた事業者に対する指導報告書や顛末書等の一切の書類の公開を請求した。松原市長は、対象文書に記録された情報が条例6条3号ウ(取締り等の事務に関する情報)に該当するとして全部非公開決定をした。原告がこれを不服として審査請求をしたところ、松原市長は全部非公開決定を変更し、一部を公開する裁決をしたが、なお非公開とされた部分(事業者の名称、所在地、電話・FAX番号、設立年月、代表者名、従業員数、取得許可一覧、取引先、使用車両等の情報)について、条例6条1号本文(法人等の権利・競争上の地位等を害する情報)に該当するとした。原告は、同非公開部分の取消しと公開決定の義務付けを求めて出訴した。 【争点】 1. 非公開情報の条例6条1号本文該当性(法人等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害すると認められるか) 2. 非公開情報の条例6条1号括弧書き該当性(違法な事業活動に関する情報として例外的に公開すべきか) 【判旨】 裁判所は、争点1について、非公開情報が公開された場合に事業者を特定し得ることは認めつつも、以下の理由から条例6条1号本文に該当しないと判断し、原告の請求を全部認容した。 まず、非公開情報の公開により事業者の特定が可能かについて、松原市で無許可の同種業者は5km圏内で6業者、10km圏内でも28業者と限定されており、非公開情報はホームページ等から把握可能な多数の項目に及ぶため、比較対照により事業者を特定し得ると認定した。 しかし、法人等の事業活動には各種法令の遵守が当然に求められること、廃棄物処理法が一般廃棄物の収集運搬につき許可制を採用し、無許可営業に対して5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金(法人は3億円以下の罰金)という厳しい罰則を定めていることに照らせば、無許可営業を行った事業者の社会的評価の低下は自ら法令遵守を怠った結果であり、受忍すべき範囲内のものであるとした。したがって、非公開情報の公開により法的保護に値する権利等が害されるとはいえないと判断した。 被告が主張した、事業者が有罪判決を受けたかのような誤解を与えるとの点については、行政指導と有罪判決は全く異質であり、そのような誤解を招くおそれを想定することは相当でないと退けた。不起訴事件記録の非公開の趣旨との関係についても、廃棄物処理法の厳格な許可制の趣旨に鑑み、事業者の名誉等を法的に保護すべきとはいえないとした。 争点1で非公開決定が違法と判断されたため、争点2については判断せず、松原市長に対し非公開情報を公開すべき旨の義務付け判決をした。