特許を受ける権利確認請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 不動産会社である原告が、発電装置の開発会社(本件会社)の代表取締役である被告に対し、「円筒型永久磁石発電機」に関する特許を受ける権利(本件権利)を有することの確認を求めた事案である。原告は本件会社との間で2000万円の出資契約を締結したが、同契約は事業の利益の有無にかかわらず約2か月半で出資金の倍額である4000万円を返還する内容であった。本件会社が期限までに4000万円を支払わなかったため、原告・本件会社・被告らの間で債務弁済契約が締結され、被告が連帯保証するとともに、支払を怠った場合には被告が本件権利を原告に無償譲渡する旨の条項が設けられた。その後も弁済がなされなかったことから、原告と被告との間で本件権利の譲渡契約(本件譲渡契約)が締結されたが、被告が出願人の名義変更手続に応じなかったため、本件訴えが提起された。なお、原告は別途、被告らに対し債務弁済契約に基づく4000万円等の支払を求める訴訟も静岡地裁に提起している。 【争点】 本件譲渡契約が公序良俗に違反し無効となるか。被告は、本件出資契約の実質は元金2000万円・利息2000万円の金銭消費貸借契約であり、極めて高利率の暴利行為であるとした上で、本件権利の譲渡は債務不履行の違約罰として定められたものであり、公序良俗に違反し無効であると主張した。これに対し原告は、本件譲渡契約は出資契約等とは別個の合意であり、本件権利の価値も不明であるから公序良俗違反には当たらないと反論した。 【判旨】 請求棄却。裁判所は、本件出資契約について、出資金2000万円の交付及び4000万円の返還に係る部分は、実質的に元金2000万円の金銭消費貸借契約及び2000万円の利息契約であると認定した。その上で、本件債務弁済契約における本件権利の無償譲渡の合意は、約定の遅延損害金(年14%)の支払合意と併せて、被告の連帯保証債務の履行遅滞に対する損害賠償額の予定であると性質決定した。そして、本件譲渡契約が締結された経緯として、本件会社及び被告が利息制限法の制限を大幅に超える利息を含む消費貸借契約の債務を弁済できず窮迫状態にあったこと、本件権利が本件会社の事業にとって重要なものであったこと、再売買予約において代金が1000万円と定められていたことから本件権利に相応の価値があったこと等を認定し、本件賠償額予定合意のうち本件権利の譲渡に係る部分は、実質的に利息制限法の制限利率の定めを潜脱する過大なものであり、公序良俗に違反し無効であると判断した。原告の本件権利の価値が不明との主張についても、再売買予約の代金1000万円の定めから相応の財産的価値があると推認できるとして退けた。