AI概要
【事案の概要】 本件は、模型用サーボモーターに関する商標権侵害に基づく損害賠償請求事件である。原告は、「TOWER PRO」(標準文字)の商標権を外国法人2社と共有する合同会社であり、模型用サーボモーターの設計・輸入・卸売等を営んでいる。被告は、オンラインショッピングサイトで電子部品等の通信販売を行う株式会社(カナダの会社の子会社)である。 原告は、被告が令和元年7月18日頃から同年8月末頃にかけて、自社のオンラインショッピングサイト上の15のウェブページにおいて、本件商標と同一又は類似の標章「TOWER PRO」が付されたサーボモーター(型番SG90)の商品画像や商品情報を掲載して販売のために展示した行為が商標権侵害に当たるとして、商標法38条3項(使用料相当額の損害賠償)に基づき、12万3200円及び遅延損害金の支払いを求めた。被告は、商品の調達はすべてカナダで行われており、真正商品が含まれている可能性がある旨を主張して争った。 【争点】 主な争点は、(1)被告各標章と本件商標との類否、(2)被告商品(サーボモーター)と本件商標権の指定商品(モーターを組み込んだ小型模型等)との類否、(3)並行輸入の抗弁の成否、(4)損害額の算定方法である。特に損害額については、原告が自社のライセンス料規定に基づく11万2000円を請求したのに対し、裁判所が独自に使用料率を認定した点が実務上注目される。 【判旨】 裁判所は、15商品のうち証拠により商標使用が確認できた11商品について商標権侵害を認めた。被告各標章の要部は「TOWER PRO」部分であり、本件商標と類似すると判断した。また、サーボモーターと指定商品(モーターを組み込んだ小型模型等)は、通常同一営業主により製造・販売されていると推認でき、類似する商品と認定した。被告の並行輸入の主張については、適法な並行輸入に当たると認めるに足りる的確な証拠がないとして排斥した。 損害額の算定においては、原告のライセンス料規定に基づく算定を退けた。原告が同規定に基づき実際にライセンスを行った実績を認めるに足りる証拠がないことを理由に、諸般の事情を総合考慮して使用料率を10%と認定した。サーボモーター単品の販売価格513円を基準に各商品の販売個数を乗じた売上合計10万2087円に10%を乗じ、さらに商標権の共有持分3分の1を乗じて、原告に帰属する損害賠償額を3402円と算定した。原告の請求額12万3200円に対し、認容額は3402円にとどまり、訴訟費用は36分の35が原告負担とされた。