(被告人A1)国税徴収法違反,強制執行妨害目的財産損壊等,電磁的公正証書原本不実記録・同供用,強制執行妨害目的財産無償譲渡等,弁護士法違反,破産法違反被告事件,(被告人A2)国税徴収法違反,強制執行妨害目的財産無償譲渡等,強制執行妨害目的財産損壊等,弁護士法違反,破産法違反被告事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 被告人A1は、「トータルアドバイザー」等の名称で、多額の負債を抱える会社経営者等に対し債務整理に関する助言を行い、自ら債権者との交渉に当たる事業を行っていた者であり、被告人A2はその事業を補佐していた者である。被告人らは、弁護士資格を有しないにもかかわらず、報酬を得る目的で、業として、複数の顧客に対し「銀行への返済は止めろ」「債権には時効があって5年間何もしなければ借金が消える」「第二会社を作って財産や社員を移せばよい」等と法律的見解を述べた上、債権者である銀行に赴いて顧客の代理人として債務免除等の交渉を行った(弁護士法違反)。さらに被告人らは、滞納処分の執行を免れ強制執行を妨害する目的で、顧客企業の売掛金債権を第二会社に無償譲渡し、飲食店の売上金約1444万円を別会社名義の口座に入金して隠匿し、生命保険契約の名義を変更するなどした(国税徴収法違反・強制執行妨害)。加えて、破産手続開始決定を受けた顧客企業について、事務所の移転先を偽って破産管財人への書類等を隠滅し、破産管財人からの説明要求を拒否した(破産法違反)。被告人A1はさらに単独で、顧客企業の売掛金を架空の債権譲渡により合計約1127万円を別会社名義口座に振り込ませて隠匿し、共犯者名義の不動産について虚偽の所有権移転登記を行った(電磁的公正証書原本不実記録)。 【争点】 弁護士法違反について、弁護人は共謀の成否を争い、被告人A2は有限会社D4に係る行為への関与を否定した。また、被告人らの債権者に対する言動が「債務免除又は損失処理を行うよう交渉」に該当するかが争われた。没収・追徴の範囲についても、検察官が非弁行為を業とする罪の全期間の収益を対象とすべきと主張し、その算定方法が争点となった。 【判旨(量刑)】 裁判所は、共謀について、被告人らが非弁行為で報酬を得るという目的で集まった組織であり、役割分担の上で互いに書類作成の手伝いや教示を行っていたことから、包括的な共謀の成立を認めた。被告人A2についても、B2に対する教示や書類サンプルの提供等を行っていたとして共同正犯の成立を肯定した。債権者への交渉行為については、単なる支払拒絶ではなく、第二会社への財産承継を前提に債務免除や損失処理を求める趣旨が含まれており、他人の法律事件に関する法律事務の取扱いに該当すると判断した。没収・追徴については、訴因に明記されていない行為から得た収益は審判の対象とならないとして検察官の主張を排斥し、起訴された犯罪事実に係る報酬合計約1491万円を基準に算定した。量刑について、弁護士制度の秩序を大きく揺るがし、滞納処分や強制執行を妨害した犯行は強い非難に値するとして、被告人A1を懲役3年及び罰金300万円の実刑に、被告人A2を懲役2年6月及び罰金150万円(懲役刑につき執行猶予4年)に処した。