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【事案の概要】 平成25年6月26日、大阪府内の一級河川A川沿いの土地において、控訴人(原告)が設置したコンクリートブロック(サイコロブロック)等が河道内に崩落し、A川の河川護岸の一部も崩壊する事故が発生した。控訴人は、自己所有の土地を資材置き場等として利用するため、盛土の除去、ブロックの設置、盛土の埋め戻し、砂利の敷き詰めといった一連の工事を行っていた。 処分行政庁(富田林土木事務所長)は、控訴人が行った上記工事が事故の原因であるとして、河川法67条に基づき、応急対策工事費用合計297万5000円の全額を控訴人に負担させる旨の処分を行った。控訴人はこの処分の取消しを求めて提訴したが、原審(大阪地裁)は請求を棄却したため、控訴人が控訴した。 【争点】 (1) 事故の原因がブロック設置行為のみか、工事全体か(審理対象の範囲) (2) 工事により斜面の安定性が低下したか(因果関係の有無) (3) 降雨・河川水位の上昇が真の原因ではないか (4) 専門委員の説明を排除したことが専門委員制度の趣旨に反するか (5) 工事費用全額を控訴人に負担させることに裁量権の逸脱・濫用があるか (6) 処分基準の不設定・理由提示の不足が行政手続法に違反するか 【判旨】 大阪高裁は、控訴を棄却した。 まず審理対象について、工事は盛土の除去からブロック設置、埋め戻し、砂利敷き詰めまでの一連の工程であり、特定の部分を切り取って護岸への影響を論ずべきではないとした。聴聞手続の経緯からも、処分理由は工事全体を対象としていたと認定した。 因果関係については、ブロック3段分の重量は同体積の自然地盤より約420kg重く、斜面強度への影響は大きいと認定した。事故前の調査で斜面付近に洗掘はなく、大雨に見舞われた付近の河岸のうち控訴人の工事がされた斜面のみで崩壊が発生したことから、工事が事故の原因と推認するのが合理的であるとした。 専門委員の説明については、控訴人が「降雨による地盤強度低下」の部分のみを取り上げ「不安定な盛土」という前提部分を殊更に除外しており、説明の趣旨を正しく理解していないとして退けた。円弧滑り計算による安全率も、工事前1.102から工事後0.973に低下したとの算定結果の妥当性を認めた。 裁量権の逸脱・濫用の主張については、事故の直接原因は工事にあるとして前提が誤りであるとし、費用全額の負担命令は適法とした。行政手続法違反の主張に対しては、処分基準の設定は努力義務にすぎず、処分書には根拠法令・汚損内容・負担額が明示されており理由提示として十分であると判断した。