不法行為による損害賠償請求事件
判決データ
- 事件番号
- 平成31受606
- 事件名
- 不法行為による損害賠償請求事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2020年4月7日
- 裁判種別・結果
- 判決・その他
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 被上告人(債権者)は、上告人ら(債務者)に対して建物の一部の明渡しを命ずる仮執行宣言付き判決に基づき強制執行を申し立て、その費用として合計161万3244円を支出した。被上告人は、この執行費用を上告人らによる建物部分の不法占有に係る共同不法行為による損害であると主張し、上告人らに対して不法行為に基づく損害賠償として、上記執行費用及び弁護士費用相当額16万1324円の合計177万4568円並びに遅延損害金の連帯支払を求めた。原審は被上告人の主張に理由があるとして、上記連帯支払を求める請求を認容した。 【争点】 強制執行の申立てをした債権者が、債務者に対する不法行為に基づく損害賠償請求において、民事訴訟費用等に関する法律(費用法)2条各号に掲げられた費目に該当する強制執行費用を損害として主張することが許されるか。 【判旨】 最高裁は原判決を破棄し、被上告人の請求を棄却した。その理由は以下のとおりである。民事執行法42条は、強制執行の費用で必要なものを債務者の負担とし(1項)、執行手続において同時に取り立てられたもの以外の費用については、費用額確定処分を経て強制執行により取り立てることとしている(4項ないし8項)。費用法2条が民事執行手続を含む民事訴訟等の手続の費用の費目及び額を法定しているのは、手続に一般的に必要と考えられるものを定型的・画一的に定めることにより、当事者等に予測できない負担が生ずることを防ぐとともに、費用の額を容易に確定することを可能とし、費用額確定処分等により簡易迅速に取り立て得るものとすることで、適正な司法制度の維持と公平かつ円滑な利用という公益目的を達成する趣旨である。したがって、費用法2条各号に掲げられた費目の費用については、専ら費用額確定処分を経て取り立てることが予定されており、これを不法行為に基づく損害賠償請求において損害として主張することは許されない。 【補足意見】 宇賀克也裁判官は、簡易迅速な特別手続が法定されている場合、それが専ら私人の便宜のみを念頭に置いたものであれば手続の排他性は認められないが、費用法2条に基づく執行費用額確定手続は、当事者が訴訟制度等を躊躇なく利用し適正な立証活動等を可能にするという裁判を受ける権利の実効性確保に関わるものであり、司法制度の基盤の一環として公益性が認められるため、手続の排他性を認めることが正当化されると述べた。