団地管理組合総会決議不存在確認等請求事件(本訴,承継参加),未払管理費等支払請求事件(反訴)
判決データ
- 事件番号
- 平成28ワ2475
- 事件名
- 団地管理組合総会決議不存在確認等請求事件(本訴,承継参加),未払管理費等支払請求事件(反訴)
- 裁判所
- 札幌地方裁判所
- 裁判年月日
- 2020年4月13日
- 裁判官
- 武部知子、松長一太
AI概要
【事案の概要】 本件は、札幌市内の再開発事業によって造成された「A団地」における管理費等の負担割合をめぐる紛争である。同団地は、地上40階建ての住宅棟(214戸)、2階建ての商業業務棟、及び駐車場棟等から構成されており、住宅棟の区分所有者と商業業務棟の共有者(原告ら)が団地管理組合を構成していた。 旧規約では、団地管理費等の負担割合は住宅棟以外の団地共用部分の共有持分割合に応じ、住宅棟と商業業務棟で9対1とされ、駐車場棟管理費は共有持分割合に従い4対6とされていた。被告管理組合は平成28年4月24日の第10回通常総会において、敷地の共有持分割合(住宅棟約68.5対商業業務棟約31.5)も考慮して団地管理費等の負担割合を84.6対15.4に変更し、駐車場棟管理費についても固定資産税等の課税割合との調整を行う規約変更決議をした。この変更により、原告らの管理費等の負担額は月額約25万円(年額約301万円)の増額となった。原告らは、本件規約変更は区分所有法66条・31条1項後段にいう「特別の影響を及ぼすべきとき」に該当し、原告らの承諾なくされた決議は無効であると主張して決議の無効確認を求めた(本訴)。被告管理組合は、変更後の規約に基づく未払管理費等約1031万円の支払を求めた(反訴)。 【争点】 主たる争点は、本件規約変更決議が原告らの権利に「特別の影響を及ぼすべきとき」に該当するか否かである。具体的には、(1)団地管理費等の負担割合変更の必要性・合理性と原告らが受ける不利益の比較衡量、(2)駐車場棟管理費の負担割合変更について同様の比較衡量が問題となった。 【判旨】 裁判所は、本訴請求を認容し(規約変更決議の無効を確認)、反訴請求を棄却した。 まず団地管理費等について、裁判所は、旧規約が団地共用部分の共有持分割合のみに基づいて負担割合を定めたことには相応の合理性があったと認定した。団地管理費等の支出の4分の3が団地共用部分のために充てられている実態に照らせば、旧規約の方法が新規約と比して合理性を欠くとはいえず、規約変更の必要性・合理性は高くないと判断した。他方、原告らの負担増は月額約11万円(約53%増)に上り、利用方法の変更もなく実質的利益も得られないことから、不利益の程度は看過し難いとした。 次に駐車場棟管理費について、裁判所は、旧規約が収益の配分割合と経費の負担割合をいずれも共有持分割合(4対6)に揃えることで公平を図っていたと解釈した。新規約は固定資産税等の調整により負担割合のみを変更する一方、収益配分は従前のままとしたため、負担と収益の均衡が崩れ不利益が拡大すると指摘した。 以上を総合し、本件規約変更はいずれの部分についても原告らの受忍限度を超える不利益を課すものであり、「特別の影響を及ぼすべきとき」に該当するため、原告らの承諾を得ずにされた本件規約変更決議は無効であると結論づけた。