AI概要
【事案の概要】 本件は、原告(アップル社)が「CORE ML」の文字を標準文字で表してなる商標について、指定商品を第9類「アプリケーション開発用コンピュータソフトウェア」等として商標登録出願をしたところ、特許庁から拒絶査定を受け、不服審判請求も棄却されたため、その審決の取消しを求めた事案である。特許庁は、本願商標の構成中「ML」の部分は「Machine Learning(機械学習)」の略語として商品の品質を表すにすぎず出所識別力が弱いとし、「CORE」の部分が要部であると認定した。そのうえで、既に登録されていた引用商標1「CORE」及び引用商標2「コア」(いずれも第9類の電子応用機械器具等を指定商品とするもの)と本願商標は類似すると判断し、商標法4条1項11号に該当するとして登録を拒絶した。 【争点】 結合商標である本願商標「CORE ML」から「CORE」の部分のみを要部として抽出し、引用商標と対比して類否を判断することが許されるか。具体的には、(1)「CORE」の文字部分が取引者・需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与えるといえるか、(2)「ML」の文字部分から出所識別標識としての称呼・観念が生じないといえるか、が問題となった。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、審決を取り消した。裁判所はまず、結合商標の一部を抽出して類否判断をすることは、その部分が出所識別標識として強く支配的な印象を与える場合等を除き原則として許されないとの最高裁判例の基準を確認した。そのうえで「CORE」の語について、多くのコンピュータ関連用語辞典には項目として掲載されておらず、本件指定商品との関係では「中心部、中核、核心」という一般的な意味が認識されるにすぎないため、出所識別標識として強く支配的な印象を与えるとはいえないと判断した。「ML」の語についても、「Machine Learning」の略語としての使用例は存在するものの、それらの使用例では必ず「機械学習」という語と共に用いられていること、コンピュータ用語辞典では「メーリングリスト」の意味として説明されているものもあること等から、何らの説明もなく使用された場合に直ちに「Machine Learning」の略語と認識されるとはいえないとした。結局、「ML」の部分が「CORE」の部分に比べて出所識別力が弱いとはいえず、本願商標は全体として一体的に把握すべきであると結論づけた。本願商標全体と引用商標を対比すると、称呼「コアエムエル」と「コア」は音数が大きく異なり、外観も異なることから、観念に一部共通する点があっても全体として類似しないと判断し、審決を取り消した。