AI概要
【事案の概要】 本件は、データ記憶機(外付けハードディスク)の意匠権(登録第1409214号)を有する原告(株式会社バッファロー)が、被告(FFF SMART LIFE CONNECTED株式会社、旧商号MARSHAL株式会社)に対し、被告の製造・販売するデータ記憶機及びそのケースの意匠が本件意匠に類似するとして、意匠法37条に基づく差止め及び廃棄、並びに不法行為に基づく損害賠償金5407万0857円及び遅延損害金の支払を請求した事案である。本件意匠は、略扁平直方体状のデータ記憶機において、平面及び正面に略全面に渡って平坦なプレートが形成され、プレートと本体の間に溝部が設けられ、プレートの平面から正面へと繋がる角が側面視円弧状に湾曲し、平面から背面へと繋がる角が直角に折れ曲がっているという特徴を有するものである。被告は平成29年6月から令和元年6月までの間に被告製品を5万2708台販売していた。 【争点】 (1) 本件意匠と被告意匠の類否(争点1):被告は、本件意匠の基本的構成態様はいずれも出願前に公知であり要部にならないと主張し、両意匠の差異点(正面下部の開口部・縦筋の有無、側面の斜線状の筋の有無、通気口の配置等)が共通点を凌駕すると主張した。 (2) 被告製品のケースの製造・販売による侵害の成否(争点2):原告は、ケースの製造・販売が直接侵害又は間接侵害に当たると主張した。 (3) 原告の損害の有無及び額(争点3):原告は意匠法39条2項又は3項に基づく損害額を主張し、被告は推定の95%覆滅を主張した。 【判旨】 裁判所は、本件意匠の要部は基本的構成態様(A3)〜(C3)、すなわち略扁平直方体状でプレート・溝部・本体から構成される点、平面及び正面に略全面に渡るプレートが形成され溝部がその間に設けられている点、プレートの平面から正面へ繋がる角が側面視円弧状に湾曲し背面へ繋がる角が直角に折れ曲がっている点にあると認定した。公知意匠(乙1〜乙6意匠)はいずれも本件意匠の「プレート」に相当する構成を有しないため、要部の認定を左右しないとした。その上で、被告意匠の基本的構成態様はこれらの要部と全て共通しており、差異点(正面下部の開口部・縦筋の有無、側面の斜線状の筋、通気口の配置等)はいずれも意匠全体の印象を左右するほどのものではないとして、本件意匠と被告意匠は類似すると判断した。ケースの製造・販売については、直接侵害は否定したが、間接侵害(意匠法38条1号)の成立を認めた。損害額については、意匠法39条2項に基づく被告の利益額(被告製品分4860万6441円、ケース分37万5987円)を認定した上で、データ記憶機の需要者は第一次的に機能面を、第二次的にデザイン性を考慮して購入動機を形成するとして、7割の推定覆滅を認めた。覆滅部分には同条3項を適用し(実施料率5%)、弁護士・弁理士費用を加えて、合計3528万1382円の損害賠償を認容した。