AI概要
【事案の概要】 本件は、発明の名称を「クランプ装置」とする特許権(特許第5700677号)を有する原告が、被告らの製造・販売するクランプ装置が原告の特許権を侵害するとして、被告製品の製造・販売等の差止め、廃棄、及び損害賠償の支払を求めた事案である。原告は機械加工用クランプ装置メーカーであり、被告コスメックは被告製品を販売し、その関連会社の被告エンジニアリングが製造を担当していた。本件特許は、クランプ装置に内蔵する流量調整弁の構成を簡単化し、作動油の流量を容易かつ確実に微調整可能とすることを目的とする発明であり、「弁孔」や「第2隙間」といった構成要件が争点の中心となった。被告製品はスイングクランプ(被告製品群1~3)、リンククランプ(被告製品群4~6)、スピードコントロールバルブ(被告製品群7及び8)に分類され、それぞれについて特許権侵害の成否が争われた。 【争点】 主要な争点は、(1)被告製品群1~3の間接侵害(特許法101条1号)の成否、(2)被告製品群4~6の均等侵害の成否、(3)被告製品群7及び8の間接侵害(同条2号)の成否、(4)差止・廃棄請求の成否、(5)損害額、(6)消滅時効の成否であった。特に、被告製品の「弁孔」がクランプ本体ではなく流量調整弁の先端部材に形成されている点が構成要件1K・3Kを充足するか、及び被告製品に本件発明の「第2隙間」に相当する構成が存在するかが技術的な中核争点であった。 【判旨】 裁判所は、まず「弁孔」(構成要件1K・3K)について、特許請求の範囲の記載から、弁孔は第1油路と第2油路の間の作動油の流路となる空間の一部に形成されていれば足り、クランプ本体に形成されるものに限定されないと判断した。次に「第2隙間」(構成要件1X・3X)について、弁ケースの小径部のうち装着穴と螺合している部分よりも油室側の部分と装着穴内周面との間に形成される隙間を意味すると解し、被告製品にも同様の隙間が存在すると認定した。その結果、被告製品群1~3はクランプアームを取り付けたものが本件発明の技術的範囲に属し、間接侵害が成立すると判断した。被告製品群4~6(リンククランプ)については、出願経過において補正によりリンククランプが特許請求の範囲から意識的に除外されたと認められるため、均等の第5要件を充足せず、侵害は成立しないとした。被告製品群7及び8については、本件発明の課題解決に不可欠な「流量調整弁」に相当するものであるとして、間接侵害(特許法101条2号)の成立を認めた。損害額については、被告製品群1~3の利益につき2割の推定覆滅を認め、消滅時効による一部減額を経て、最終的に被告らに対し連帯して3億4161万8505円の損害賠償の支払を命じた。