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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成28ワ24051
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2020年5月29日
裁判官
清光成実

AI概要

【事案の概要】 原告Aは平成22年9月に出生した女児であり、心房中隔欠損症(ASD)及び心室中隔欠損症(VSD)と診断され、被告が運営する慶應義塾大学病院において人工心肺下の心臓手術を受けた。手術前日の心エコー検査で、過去6回の検査では指摘されなかった大動脈肺動脈窓(APW)の存在が新たに疑われたため、APWが存在する前提で術式が変更された。APWに対応するため、送血カニューレは通常より遠位(頭側)の上行大動脈の頸部分枝に近い部位に挿入された。しかし、術中の直視確認によりAPWは実際には存在しないことが判明した。術後、原告Aは低酸素性虚血性脳症を発症し、痙性四肢麻痺、追視不能、嚥下障害等の重篤な脳神経障害の後遺症が残った。原告A及びその両親である原告B・Cは、被告に対し、診療契約上の債務不履行又は使用者責任に基づき、合計約2億円の損害賠償を求めた。 【争点】 (1) 再度心エコー検査を実施する注意義務の有無:過去6回の検査でAPWが指摘されなかったにもかかわらず、手術前日の1回の検査結果のみでAPWの存在を前提とした術式を採用したことについて、過去の検査記録を取り寄せて分析し、再度心エコー検査を実施する義務があったか。 (2) 脳モニターを使用する注意義務の有無:送血カニューレが頸部分枝に近い部位に挿入されたことから、無侵襲脳内酸素飽和度モニター(脳モニター)を使用して脳灌流障害を監視する義務があったか。 (3) 血液ガス分析の数値から原因を探索し解消する注意義務の有無:人工心肺開始後に代謝性アシドーシスが進行したことから、脳の灌流障害を疑い、送血カニューレの位置や角度を調整する義務があったか。 【判旨】 裁判所は、いずれの争点についても注意義務違反を否定し、原告らの請求を全部棄却した。争点(1)について、4名の鑑定人のうち3名が、本件心エコー検査は専門医が高性能の機器を用いて実施した最新の結果であり、過去の記録を取り寄せなかったことは不適切ではないとし、再度検査を実施してもAPWの除外確定診断は困難であり、APW存在を前提とした術式を採ること自体は合理的であるとした。争点(2)について、4名の鑑定人全員が、本件手術当時、脳モニターの使用は医療水準となっておらず、中心静脈酸素飽和度(ScvO2)によるモニタリングが行われていたことは当時として優れた対応であったと評価した。争点(3)について、代謝性アシドーシスの原因は、麻酔開始から人工心肺開始までの低血圧による末梢循環不全のウォッシュアウト等によるものと考えられ、ScvO2が90%前後と良好で体温も均一に推移していたことから脳灌流障害を疑う根拠がなく、送血カニューレを動かすことには出血等の重大なリスクを伴うとして、調整義務を否定した。原告Aの脳神経障害の原因については4名の鑑定人の意見が分かれ、結論として不明とせざるを得ないとしつつ、人知の限界を前提に、医師らに注意義務違反は認められないと結論付けた。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。