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下級裁

損害賠償請求事件

判決データ

事件番号
平成30ワ1206
事件名
損害賠償請求事件
裁判所
札幌地方裁判所
裁判年月日
2020年5月29日
裁判官
瀬孝萩原孝基佐藤克郎

AI概要

【事案の概要】 札幌刑務所に収容されていた原告(受刑者)が、同じく受刑者である被告aから一方的に暴行を受けた事件である。平成29年9月1日、刑務所の体育館内で運動時間中、被告aは突然「この野郎」と叫びながら原告に近づき、顔面を手拳で殴打し、転倒した原告をさらに多数回殴打・足蹴りする暴行を約30秒にわたって加えた。原告は上顎部前歯折損、上下口唇裂傷、右目打撲による視力低下疑い、腰部・頸部捻挫、右下腿挫傷の傷害を負い、眼鏡も破損した。暴行の際、体育館内には52名の受刑者がおり、2名の刑務官が立ち会っていたが、いずれも口頭で「やめろ」「離れろ」と指示するのみで実力による制止をせず、約28秒後に応援職員約30名が到着するまで暴行を遠巻きに眺めていた。なお、暴行中に1名の受刑者が自ら走り寄って被告aを原告から引き離す場面もあった。 原告は、被告aに対し不法行為に基づく損害賠償を、被告国に対し刑務官が暴行を実力で制止しなかったことの国家賠償法上の違法を主張して、それぞれ損害賠償を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)被告aに対する損害額(眼鏡の時価、インプラント治療費の必要性、慰謝料額)、(2)刑務官の制止権限不行使に国家賠償法上の違法性があるか、であった。被告国は、刑務官2名が実力で制止すれば他の受刑者から襲撃を受ける危険があったこと、警棒等の装備がなく被告aの身長が180cmであったこと等から、制止は困難であり権限不行使は合理的であったと主張した。 【判旨】 裁判所は、被告aに対する請求について、眼鏡の物的損害2万円、将来治療費5万円(インプラント治療の必要性は認められないが、前歯抜去後の何らかの治療費として認定)、慰謝料50万円、弁護士費用5万円の合計62万円を認容した。慰謝料については、暴行が一方的かつ突然であり原告に落ち度がなかったこと、傷害の程度が相当であったことを重視した。被告aが「他の受刑者から指示された道具にすぎなかった」との主張は、原告の精神的苦痛を軽減するものではないと退けた。 被告国に対する請求について、裁判所は、刑事収容施設法の趣旨・目的に照らし、刑務官には被収容者の安全かつ平穏な共同生活を維持するため制止権限を行使する法的義務が生じる場合があると判示した。受刑者は施設内で暴力に反撃することが禁じられており、刑務官の制止権限行使により自己の安全を図るほかないという法的利益を有することも指摘した。本件では、暴行者が1名のみであったこと、現に1名の受刑者だけで被告aを引き離せたこと、他の受刑者は茫然と立ちすくんでいたにすぎないこと等から、刑務官2名が口頭指示のみで実力制止をしなかったことは著しく合理性を欠くとして国家賠償法上の違法を認め、慰謝料10万円及び弁護士費用1万円の合計11万円を認容した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。