AI概要
【事案の概要】 原告(グリー株式会社)は、「サーバ装置,その制御方法,プログラム,及びゲームシステム」に関する特許出願(特願2018-146350号)について拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は請求不成立の審決をした。審決は、本願発明がオンラインゲーム「CARTE」の紹介ムービー(YouTube動画)に開示された引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとして、特許法29条2項により特許を受けることができないと判断した。本願発明は、対戦ゲームにおいて、キャラクタカードにポイントや複数のパラメータを設定し、時間経過に伴い加算されるポイント総量の範囲内でプレイヤがカードを選択して攻撃に使用する制御プログラムに関するものである。 【争点】 主な争点は、審決が看過したとされる3つの相違点(相違点A:時間経過に伴うポイント加算、相違点B:複数パラメータに基づく攻撃、相違点C:キャラクタの配置と攻撃)の存否と、審決が認定した相違点2(カードの隣接配置)及び相違点6(カード補充の契機)の容易想到性の判断の当否である。 【判旨】 知財高裁は、原告の主張のうち相違点Bの看過と相違点6の容易想到性の判断誤りを認め、審決を取り消した。相違点Bについては、引用発明ではAPの値という単一のパラメータのみに基づいて攻撃が行われており、HPの値は攻撃に用いられているとは認められないとして、本願発明の「複数のパラメータに基づいて攻撃する」構成は引用発明に開示されていないと判断した。被告は、HPが0になるとカードが除去されるためHPにも基づいて攻撃していると主張したが、HP0で攻撃自体を行い得ないことは「HPに基づく攻撃」とはいえないとして退けた。相違点6については、引用発明ではマナ補充用のシャードカードの移動が手札補充の契機であるのに対し、本願発明では攻撃用の第2フィールドへの配置が補充の契機であり、移動されるカードの種類・機能も異なることから、ゲームの性格に関わる重要な相違であって、「ゲーム上の取決めにすぎない」として他の公知技術等による論理付けなく容易想到と判断することは相当でないとした。一方、相違点Aの看過及び相違点Cの看過、相違点2の容易想到性の判断誤りについては、いずれも原告の主張を退けた。