犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30行ウ76
- 事件名
- 犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求事件
- 裁判所
- 名古屋地方裁判所
- 裁判年月日
- 2020年6月4日
AI概要
【事案の概要】 原告(男性)は、約20年にわたり共同生活を継続していた男性(本件被害者)が、原告と交際していた別の男性に殺害されたことを受け、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(犯給法)に基づき、遺族給付金の支給を申請した。原告は、犯給法5条1項1号の「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当すると主張したが、愛知県公安委員会は、同性パートナーは同号の「犯罪被害者の配偶者」に当たらないとして不支給の裁定をした。原告がその取消しを求めた事案である。 【争点】 (1) 同性の犯罪被害者と共同生活関係にあった者が、犯給法5条1項1号の「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当し得るか(争点1) (2) 原告が本件被害者と「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」であるといえるか(争点2) 【判旨】 請求棄却。裁判所は、犯給法の目的が社会連帯共助の精神に基づき犯罪被害者の遺族等を救済することにあることを踏まえた上で、同性パートナーが「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当するためには、同性間の共同生活関係が婚姻関係と同視し得るものであるとの社会通念が形成されていることを要するとの判断枠組みを示した。その上で、本件処分当時(平成29年)の社会状況として、多数の地方公共団体が同性パートナーシップ認証制度を創設し、民間企業でも同性パートナーを配偶者と同様に扱う動きが進み、各種団体から同性婚の法制化に関する提言がなされ、意識調査で賛成意見が反対を上回る結果も出ていたことを認定した。しかし、これらの取組は同性間の共同生活関係への理解が十分に進んでいないために推進されているものであること、パートナーシップ認証制度にも直接的な法的効果は付与されていないこと、諸外国の制度形成の段階と比較しても我が国はなお初期段階にあること、同性婚の法制化の具体的めどが立っていないこと等を指摘し、本件処分当時、同性間の共同生活関係を婚姻関係と同視し得るとの社会通念は形成されていなかったと判断した。したがって、争点2について判断するまでもなく、原告の請求には理由がないとして棄却した。