公文書非公開決定処分取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、原告が、高槻市情報公開条例に基づき、高槻市消防長に対し、特定の9病院を搬送先とする救急活動記録票の電磁的記録(平成25年度から令和元年度分)の公開を請求したところ、高槻市消防長が、同条例6条1項1号(個人に関する情報)に該当するとして全部を非公開とする決定をしたため、救急活動記録票のうち一定の項目(日時情報、決裁・審議欄、出場隊名・隊員名等、場所区分・事故種別・搬送先等)について非公開決定の取消しを求めた行政訴訟である。なお、本件に先立ち、原告は同様の公開請求に関する前件訴訟を提起しており、前件地裁判決及び前件高裁判決が存在していた。 【争点】 救急活動記録票の各欄に記録される情報が、高槻市情報公開条例6条1項1号所定の非公開情報(個人識別情報または利益侵害情報)に該当するか否か。被告(高槻市)は、搬送先欄の情報は傷病者の病気の種別や受診の事実を推測させる利益侵害情報であり、また各欄の情報を他の情報と照合すれば個人を識別できる個人識別情報にも該当すると主張した。原告は、前件判決に照らしていずれの情報も非公開情報に該当しないと反論した。 【判旨】 裁判所は、請求を大部分認容し、一部棄却した。まず、救急活動記録票の各欄の情報はいずれも傷病者に関わる「個人に関する情報」に該当すると認定した。次に個人識別情報該当性について、高槻市では救急出動が1日平均50件以上あることを踏まえ、日時情報欄、場所区分欄、出場隊名・隊員名等の欄、搬送先欄、搬送理由欄、連携活動欄、現場携行資器材欄に記録される情報は、他の情報と照合しても特定の個人を識別できないと判断した。ただし「事故種別」欄については、「水難」や「自然災害」など年間発生件数が極めて少ない項目があり、日時・場所の情報やマスメディアの報道等と照合すれば個人の識別が可能であるとして、個人識別情報に該当すると認めた。さらに利益侵害情報該当性について、搬送先病院の診療科目が精神科等である場合は精神疾患への罹患を推測させ、秘匿性が極めて高い情報であるとして、搬送先をH病院(精神科を含む病院)とする場合の「科目」欄の情報のみ利益侵害情報に該当すると認めた。その余の各欄の情報は利益侵害情報に該当しないと判断した。以上により、「事故種別」欄及びH病院の「科目」欄を除いた部分について非公開決定を取り消した。