AI概要
【事案の概要】 原告(ミノツ鉄工株式会社)が、被告(株式会社光栄鉄工所)の有する「平底幅広浚渫用グラブバケット」に関する特許(特許第3884028号)について、引用発明(実願昭50-170996号)及び周知技術に基づき容易に発明できたとして特許無効審判を請求したところ、特許庁が請求不成立の審決をしたため、その取消しを求めた事案である。本件特許をめぐっては、平成22年の別件無効審判以来約7年4か月にわたり、4回の審決と3回の判決、1回の決定がされるという長期の紛争経緯がある。 【争点】 (1) 相違点6(ゴム蓋がシェルの掴み物の内圧上昇に伴い上方に開く構成)の容易想到性判断の誤りの有無 (2) 相違点9(薄層ヘドロ浚渫工事への使用)の容易想到性判断の誤りの有無 (3) 相違点11(シェルカバーの3段構成と蓋体の配設)の容易想到性判断の誤りの有無 (4) 特許法167条又は信義則に基づく本件無効審判請求の許否 【判旨】 請求棄却。裁判所は、まず進歩性判断の手法について、相違点の認定は発明の技術的課題の解決の観点からまとまりのある構成を単位として行うべきであり、ことさらに細かく分けて認定することは適切でないと指摘した上で、相違点4ないし6は本来一体の相違点(相違点A)として認定すべきであったと判示した。その上で、相違点6について、引用例にはシェルが掴み物を所定容量以上に掴んだ場合に関する記載や示唆が全くないこと、原告が周知技術として提出した甲19からはシェルの変形・破損という技術的課題も逆止弁による解決手段も認定できないこと、甲36からは技術的課題は認定できるものの逆止弁による解決手段は認定できないことから、相違点6は実質的な相違点であり容易に想到できないとした。本件発明1が容易想到でない以上、その構成を全て含む本件発明2も容易想到でないとして、相違点11の検討を要せず審決の結論に誤りはないと判断した。特許法167条の主張については、主引用発明が異なれば一致点・相違点の認定及び容易想到性の判断内容が異なるため「同一の事実」に当たらないとし、被告の主張を退けた。