消費税更正処分等取消請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 不動産賃貸業を営む原告(株式会社)は、平成26年4月30日に建物及び土地を代金3億6000万円で購入する売買契約を締結し、同日を「課税仕入れを行った日」として消費税等の確定申告を行い、仕入税額控除による還付を受けようとした。これに対し、処分行政庁は、建物の引渡し及び残代金の支払がされた同年5月26日が課税仕入れを行った日であるとして、消費税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、法人税の各更正処分を行った。原告は、これらの処分の取消しを求めて出訴した。なお、原告は新設分割により設立された法人であり、分割親法人の課税売上高により消費税の納税義務者に該当するとされたものである。 【争点】 主な争点は、(1)建物取得に係る「課税仕入れを行った日」が契約締結日(平成26年4月30日)か引渡日(同年5月26日)か、(2)司法書士報酬に係る課税仕入れを行った日はいつか、(3)消費税法基本通達のただし書を信頼した原告に対する更正処分が信義則に反しないか、(4)更正通知書の理由付記に不備がないか、(5)原告に過少申告加算税の免除事由たる「正当な理由」があるか、の5点である。 【判旨】 裁判所は、原告の請求をいずれも棄却した。争点(1)について、消費税法においても権利確定主義が妥当し、「課税仕入れを行った日」とは課税資産の譲渡等による対価を収受する権利が確定した日をいうと解すべきであるとした。本件売買契約では、代金全額の支払と所有権移転登記及び引渡しが同時履行とされ、実際に平成26年5月26日に残代金の支払、所有権移転登記、固定資産税の精算及び管理業務契約の締結が行われたことから、同日が権利確定日であると認定した。消費税法基本通達のただし書は、契約の効力発生日の時点で対価を収受する権利が客観的に実現可能な状態となった場合に限り契約基準を許容する趣旨であり、無条件に納税者の選択を認めるものではないと判示した。争点(2)についても、司法書士の登記申請という委任事務の履行完了日である同年5月26日が権利確定日であるとした。争点(3)の信義則違反については、本件通達ただし書は無条件の契約基準選択を認める公的見解の表示とはいえず、税理士である原告代表者は契約基準適用の不合理性を認識し得たとして、特別の事情の存在を否定した。争点(4)の理由付記についても、処分行政庁の判断過程が具体的に示されており不備はないとした。争点(5)の「正当な理由」についても、原告が自ら法解釈を誤ったにすぎず、真に納税者の責めに帰することのできない客観的事情があるとはいえないとして、これを否定した。