特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1ネ10066
- 事件名
- 特許権侵害差止等請求控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年6月17日
- 裁判官
- 森義之、眞鍋美穂子
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、「情報管理方法、情報管理装置及び情報管理プログラム」に関する特許(特許第5075201号)を有する1審原告(株式会社コムスクエア)が、1審被告(TIS株式会社)に対し、1審被告が提供する「Callクレヨン」と称するサービスが上記特許の請求項7に係る発明(本件発明)の技術的範囲に属するとして、特許法100条1項に基づく被告プログラムの譲渡等の差止め及び民法709条に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審である。本件発明は、ペイ・パー・コール(Pay Per Call)方式において、ウェブページ上の広告に関連付けられた電話番号(識別情報)を動的に割り当て、一定期間経過後に再利用する情報管理プログラムに関するものである。原審は差止め及び損害賠償請求の一部を認容したため、双方が控訴した。1審原告は当審において損害賠償の請求を拡張した。 【争点】 主な争点は、(1)乙14(米国特許出願公開第2005/0251445号明細書)に記載された発明(乙14発明)に基づく新規性欠如の無効の抗弁の成否、(2)1審原告の共同不法行為に基づく主張が時機に後れた攻撃防御方法に当たるか否か、(3)損害額の算定である。当裁判所は、事案に鑑み、乙14に基づく新規性欠如の抗弁について先に判断した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、本件発明の全構成要件(①〜⑦)について乙14発明と詳細に対比した。特に争点となった構成要件⑥(識別情報を送出可能な状態から送出不可能な状態へ変化させるステップを、ウェブサーバに向けて識別情報が送出されてから一定期間が満了した場合に実行する機能)について、乙14発明における「表示されてから」の意味を検討し、乙14では「表示(display)」がユーザ端末の画面に情報を映すという意味に限定されず、システムが要求パートナーのウェブサイトに対して情報を提示することを含むと認定した。これにより、乙14発明の「一定期間」の始期である「表示されてから」は、本件発明の「ウェブサーバに向けて識別情報が送出されてから」に相当すると判断した。また、乙14発明では所定期間内に同じ要求パートナーに対して同じ電話番号が再割り当てされる構成を当然の前提としていると認定し、「送出可能な状態」の点でも一致すると判断した。以上から、本件発明は乙14発明と同一であり、特許法123条1項2号(同法29条1項3号違反)により無効とされるべきものであるとして、1審原告の請求を全部棄却し、1審被告の控訴を認容した。