AI概要
【事案の概要】 原告(株式会社三菱UFJ銀行)は、「電子記録債権の決済方法、および債権管理サーバ」に関する特許出願について拒絶査定を受け、拒絶査定不服審判を請求したが、特許庁は「本件審判の請求は、成り立たない」との審決をした。審決の理由は、(1)本願発明は特許法2条1項の「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当せず、同法29条1項柱書の要件を満たさないこと、(2)仮に発明に該当するとしても、引用発明及び公知文献に基づき当業者が容易に発明できたものであること、の2点であった。本願発明は、電子記録債権の決済において、債権者の口座への振込信号、割引料相当料を債務者の口座から引き落とす第1の引落信号、電子記録債権の額を債務者の口座から引き落とす第2の引落信号をそれぞれ送信するという構成を有するものである。原告は本件審決の取消しを求めて知的財産高等裁判所に訴えを提起した。 【争点】 1. 発明該当性の判断の誤り(取消事由1):本願発明が特許法2条1項の「自然法則を利用した技術的思想の創作」に該当するか 2. 進歩性の判断の誤り(取消事由2):本願発明が引用発明等に基づき容易に発明できたものか 【判旨】 裁判所は、取消事由1について、本願発明は特許法2条1項の「発明」に該当しないと判断し、原告の請求を棄却した。裁判所は、発明該当性の判断枠組みとして、特許請求の範囲の記載や明細書の記載に開示された技術的課題、課題を解決するための技術的手段の構成、その構成から導かれる効果等の技術的意義に照らし、全体として「自然法則を利用した」技術的思想の創作に該当するか否かで判断すべきとした。その上で、本願発明の技術的意義は、電子記録債権の割引における割引料を債務者負担としたことに尽きるものであり、その本質は専ら取引決済についての人為的な取り決めそのものに向けられていると認定した。原告が主張する信号の送受信という構成については、電子記録債権の取引決済において従前から採用されていた方法を利用するに過ぎず、何ら技術的工夫が加えられていないとして排斥した。また、第1の引落信号と第2の引落信号を別々に送信する時期等は請求項に特定されておらず、原告主張の効果は特許請求の範囲の記載に基づかないとした。取消事由1に理由がない以上、取消事由2について判断するまでもなく、審決に違法はないと結論づけた。