損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1ネ2126
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 大阪高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年6月23日
- 裁判種別・結果
- 棄却
- 原審裁判所
- 大阪地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 被控訴人(元A知事・C市長)が、控訴人(フリージャーナリスト)に対し、ツイッターにおける単純リツイートが名誉毀損に当たるとして、不法行為に基づく損害賠償(慰謝料100万円及び弁護士費用10万円の合計110万円)を求めた本訴と、控訴人が、被控訴人の提訴はいわゆる「スラップ訴訟」(訴権の濫用)に当たるとして300万円の損害賠償を求めた反訴の控訴審である。リツイートの内容は、被控訴人が30代でA知事に就任した際、20歳以上年上の幹部たちに生意気な口をきき、自殺にまで追い込んだことを糾弾するものであった。原審は本訴の一部(33万円)を認容し、反訴を棄却した。 【争点】 (1) 単純リツイートによる名誉毀損の成否。控訴人は、単純リツイートは元ツイート主の名義で表示されるためリツイート主の賛否は読み取れず、また公人への批判は対抗言論の可能性があるため社会的評価を低下させないと主張した。(2) 違法性阻却事由(真実性・真実相当性)の有無。控訴人は、自殺事件に関する先行報道等に基づき、被控訴人の威圧的言動が間接的要因となって自殺事件が惹起されたと理解してリツイートしたもので、真実性・真実相当性があり過失もないと主張した。(3) 損害の有無・程度。(4) 本件提訴がスラップとして訴権の濫用に該当するか。 【判旨】 控訴棄却。裁判所は、まず、ツイッターにおける投稿も他の表現方法と同様に社会的評価を低下させ得るとし、表現媒体の特性をもって判断基準を異にする理由はないと判示した。単純リツイートについては、元ツイートの表現内容をそのままリツイート主のフォロワーの閲読可能な状態に置く行為であり、元ツイートの意味内容が他人の社会的評価を低下させるものである場合、リツイート主がその表現内容をフォロワーに閲読可能な状態に置くことを認識している限り、投稿の経緯・意図・動機等を問わず不法行為責任を負うとの一般論を示した。本件投稿の意味内容については、一般閲読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、被控訴人が幹部職員に生意気な口をきいたことにより自殺に追い込まれた者がいたとの事実を摘示するものと解されるとし、控訴人が主張する「間接的因果関係」を含む解釈の余地はないと判断した。真実性・真実相当性については、控訴人が主張する事実と本件投稿の摘示事実が異なるため立証がないとし、また、18万人超のフォロワーを有する控訴人にはリツイートに際し相応の慎重さが求められるとして、過失がなかったとはいえないとした。損害については慰謝料30万円、弁護士費用3万円の合計33万円を認容した。スラップの主張については、本件投稿が名誉毀損の不法行為を構成し違法性も軽微でないことから、本件提訴が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くとはいえないとして退けた。