著作権侵害差止等請求,損害賠償請求控訴,同付帯控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1ネ10050
- 事件名
- 著作権侵害差止等請求,損害賠償請求控訴,同付帯控訴事件
- 裁判所
- 知的財産高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年6月24日
- 裁判官
- 大鷹一郎、本吉弘行、中村恭
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、人気漫画「グラップラー刃牙」の著作者である一審原告が、同漫画のアニメ化・商品化の窓口業務を行っていたFWD株式会社(一審被告)に対し、著作権侵害の差止め等を求めた第1事件と、一審被告が一審原告らに対し損害賠償を求めた第2事件の控訴審である。一審原告は、一審被告が原著作者の承認を得ずに中央映画貿易との間で本件アニメのインターネット配信に関する送信許諾契約を締結・更新したこと、アニメDVDの制作販売、キャラクター商品の製造販売、漫画・アニメの静止画像のウェブサイト掲載等が、翻案権、譲渡権、送信可能化権等の侵害に当たるとして差止めを求めるとともに、アニメ化契約に基づく商標権の移転登録手続を求めた。一審被告は、原著作者の権利はアニメ化契約によりフリーウィルに譲渡されたと主張するとともに、一審原告らによるアニメ配信の停止要求や窓口業務委託契約(四者契約)の更新拒絶が不法行為又は債務不履行に当たるとして反訴を提起した。原審は一審原告の請求を一部認容し、一審被告の請求を棄却したため、双方が控訴した。 【争点】 主な争点は、(1)アニメ化契約により原著作物の著作者としての権利がフリーウィルに譲渡されたか、(2)アニメの送信可能化権の譲渡又は無期限の許諾がされたか、(3)送信許諾契約について一審原告の黙示の許諾があったか、(4)DVD制作販売による複製権・頒布権侵害の成否、(5)漫画・アニメの翻案差止めの可否、(6)キャラクター商品・画像の譲渡・送信可能化の差止め、(7)商標権の移転登録手続請求権の有無、(8)配信停止通知等に関する不法行為・債務不履行の成否、(9)四者契約の更新拒絶に関する不法行為の成否である。 【判旨】 知財高裁は、原判決を一部変更し、以下のとおり判断した。争点(1)について、アニメ化契約4条3項及び6条1項の文言や契約全体の趣旨に照らし、原著作者の権利がフリーウィルに譲渡されたとは認められないとした。争点(3)について、一審原告は配信ロイヤリティの一部を受領していたことから中央映画貿易による配信自体は認識・許容していたと認めたものの、一審被告が契約締結・期間延長の際に一審原告の承認を求めておらず、一審原告が本件通知で明示的に異議を表明していることに照らし、少なくとも送信許諾契約の期間延長の合意については黙示の許諾があったとは認められないとして、本件アニメの送信可能化の差止請求を認容した。争点(5)の翻案差止めについては、翻案行為の態様が広範多様であり差止対象を具体的に特定していないため、差止めの必要性は認められないとして棄却した。争点(7)の商標権については、アニメ化契約3条3項は契約終了後の移転登録義務を定めた条項であり、フリーウィルの地位を承継した一審被告は商標権を一審原告に移転する義務を負うとして、移転登録手続請求を認容した。一審被告の損害賠償請求については、配信停止通知、ガンホー提案の許諾拒絶、四者契約の更新拒絶のいずれについても不法行為又は債務不履行は成立しないとして、全部棄却した。