AI概要
【事案の概要】 原告は、情報公開法に基づき、国有地(大阪府豊中市所在)の学校法人森友学園への賃貸・売払いに関する面談・交渉記録等の行政文書開示請求を行った。近畿財務局長は平成29年5月に一部開示決定(本件処分)をしたが、開示された文書に森友学園側との応接録217件は含まれていなかった。その背景には、森友学園案件が国会審議で大きく取り上げられる中、更なる質問につながる材料を極力少なくすることを目的として、財務省理財局及び近畿財務局が組織的に応接録の廃棄を進め、開示請求に対しても「文書不存在」を理由に不開示決定を繰り返していたという事情があった。原告は、近畿財務局長が本件217件の文書を意図的に隠蔽・隠匿したとして、国家賠償法1条1項に基づき1100万円の損害賠償を求めた。 【争点】 (1) 近畿財務局長の行為に国家賠償法上の違法性及び故意が認められるか。 (2) 原告に生じた損害の有無及びその額。 【判旨】 裁判所は、本件処分は本件開示請求に対する終局的な応答としてされたものであり、本件面談・交渉記録に係る部分は「文書不存在」を理由に不開示とされたと認定し、近畿財務局長が開示請求を漫然と放置したとの主張は退けた。他方、本件217件の文書は、職員が手控えとして保有していた応接録やサーバ上に残存していた電子ファイルであり、近畿財務局が本件処分時に少なくともその一部を行政文書として保有していたことは明らかであるとして、「文書不存在」を理由とする不開示は情報公開法上明らかに違法であると判断した。 さらに、応接録の廃棄が国会審議での追及を回避する目的で組織的に行われたこと、近畿財務局の職員が応接録の一部が廃棄されず残存していることを認識していたことなどを踏まえ、近畿財務局長が保有していた行政文書を意図的に存在しないものとして扱ったものであり、国家賠償法上の故意の違法行為に該当すると認定した。 損害については、違法行為の動機が国民主権の理念に反する極めて不適切なものであったこと、本件再処分まで2年以上を要し、その間の被告の応訴態度も甚だ不誠実であったことを指摘しつつ、既に文書が開示されていることや開示請求権の公益的性質も考慮し、慰謝料30万円及び弁護士費用3万円の合計33万円を認容した。