違法公金支出返還請求事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 京都府京丹波町の住民である原告らが、同町の町長であった被告補助参加人(以下「参加人」)が、町内の商業集積施設「丹波マーケス」を運営する第三セクター・丹波地域開発株式会社(以下「本件会社」)に対し、補助金約3億2529万円を交付する決定をするとともに、本件会社所有の丹波マーケス敷地を約2億8171万円で買い受ける売買契約を締結し、合計約6億700万円を支出したことについて、地方自治法242条の2第1項に基づく住民訴訟を提起した事案である。 本件会社は平成4年に丹波町と民間企業の出資により設立された第三セクターで、京都府から約12億円の高度化資金を借り入れて丹波マーケスを建設・運営していたが、収益が計画を下回り借入金の返済に窮していた。参加人は本件会社の元代表取締役であり、借入金の連帯保証人でもあった。原告らは、本件支出が参加人やその親族が経営するスーパーマーケット「サンダイコー」の利益を図る目的でなされた違法なものであるとして、参加人に対する損害賠償請求、補助金交付決定の取消し、本件会社に対する不当利得返還請求を求めた。 【争点】 主な争点は、(1)補助金交付決定に処分性があるか、(2)補助金交付決定及び土地売買契約締結行為の違法性(裁量権の逸脱・濫用の有無)、(3)参加人の過失の有無及び損害額、(4)不当利得返還請求の可否であった。原告らは、本件会社の事業に公益性がないこと、本件支出が参加人の保証債務免脱やサンダイコーへの利益供与を目的としたものであること、本件会社が経営改善策を講じていないこと、議会審議が不十分であったこと等を主張した。 【判旨】 裁判所は、原告らの請求をいずれも棄却または却下した。 まず、補助金交付決定の処分性について、地方公共団体が私人に補助金を交付する関係は非権力的な給付行政に属し、京丹波町補助金等交付規則にも不交付決定に対する不服申立手続の規定がないことから、本件交付決定に処分性は認められないとして、取消請求に係る訴えを却下した。 次に、補助金交付決定の違法性について、丹波マーケスが住民約1万5000人の町において年間延べ148万人が利用する商業施設として一定の公益性を有すること、本件会社が借入金債務を負うに至った経緯は旧丹波町の政策に起因すること、経営破綻した場合には町が多額の損失を被る見込みがあったこと、補助金額が町の予算額の約5%にとどまる1回限りの支出であること、議会で資料提示と質疑討論を経て可決されたこと等を総合考慮し、参加人の裁量権の逸脱・濫用とはいえないと判断した。サンダイコーの優遇や参加人の保証債務免脱についても、丹波マーケスの開業経緯やサンダイコーの貢献等に照らし、参加人に特別の個人的利益を与えるものとはいえないとした。 土地売買契約についても、不動産鑑定士の鑑定に基づく適正価格であり、裁量権の逸脱・濫用はないと判断し、不当利得返還請求についても前提となる違法性が認められないとして棄却した。