在外日本人国民審査権確認等,国家賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1行コ167
- 事件名
- 在外日本人国民審査権確認等,国家賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 東京高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年6月25日
- 裁判種別・結果
- その他
- 裁判官
- 阿部潤、上田洋幸、阿部潤
- 原審裁判所
- 東京地方裁判所
AI概要
【事案の概要】 海外に居住する日本国民(在外国民)である一審原告ら5名が、平成29年10月22日に執行された最高裁判所裁判官国民審査において、在外国民であることを理由に審査権を行使する機会を与えられなかったとして、国(一審被告)に対し、(1)次回の国民審査において審査権を行使できる地位にあることの確認(地位確認の訴え)、(2)予備的に、在外国民であることを理由に審査権の行使をさせないことが違法であることの確認(違法確認の訴え)、(3)国家賠償法1条1項に基づく各1万円の損害賠償を求めた事案の控訴審である。原審は、地位確認の訴え及び違法確認の訴えをいずれも不適法として却下し、国家賠償請求については立法不作為の違法性を認めて各5000円を認容した。一審原告ら及び一審被告の双方が敗訴部分を不服として控訴した。 【争点】 (1)在外国民に対する国民審査権の行使制限の憲法適合性、(2)地位確認の訴えの適法性、(3)違法確認の訴えの適法性、(4)国家賠償請求の成否が争われた。国は、国民審査は解職制度であり選挙権とは性質が異なるから緩やかな審査基準によるべきであること、記号式投票を前提とすると在外公館への投票用紙の送付等に技術的問題があることを主張した。 【判旨】 東京高裁は、国民審査権も選挙権と同様に国民主権に根差す重要な権利であり、憲法上の保障の程度に差異はないとして、選挙権と同様のやむを得ない事由の審査基準を適用した。その上で、国が主張する技術的問題について、平成28年改正後は告示前に投票用紙の調製が可能となり、在外公館における投票についてもほとんどの場合に技術上の問題は解消されたと認定した。さらに、仮に極めて稀な場合に記号式投票で問題が残るとしても、点字投票で既に自書式が採用されていることなどに照らし、自書式や分離記号式など他の投票方法を採用することも可能であるとして、在外国民の審査権行使を一切認めない国民審査法は、遅くとも平成29年国民審査の時点で憲法15条1項並びに79条2項及び3項に違反すると判断した。地位確認の訴えについては、新たな立法なしには具体的地位を導き出せないとして確認の利益を欠き不適法とした。一方、違法確認の訴えについては、他に適切な救済方法がないことから公法上の法律関係に関する確認の訴えとして適法と認め、在外国民に審査権を行使させないことの違法を確認した。国家賠償請求については、平成17年大法廷判決は在外選挙制度に関するものであり直ちに在外審査制度の違憲性が明白になったとはいえないとして、立法不作為の国賠法上の違法性を否定し、請求を棄却した。