国民健康保険税処分取消請求控訴,同附帯控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1行ヒ252
- 事件名
- 国民健康保険税処分取消請求控訴,同附帯控訴事件
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 裁判年月日
- 2020年6月26日
- 裁判種別・結果
- 判決・その他
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 加須市長が、国民健康保険税及びその延滞金の滞納処分として、上告人の預金払戻請求権を差し押さえ、取り立てた金銭を滞納税に配当する処分をしたことについて、上告人が当該租税債権は時効消滅していたと主張し、配当処分の一部取消し及び金員の支払を求めた事案である。 上告人の父Aは、上告人を被保険者とする国民健康保険の世帯主として納税義務を負っていたところ、平成22年4月頃、平成20年度分(約25万円)及び平成21年度分(約28万円)の国民健康保険税が決定され通知された。上告人は同年8月に決定の取消訴訟を提起したが、異議申立て未前置を理由に却下された。Aは平成23年11月に死亡し、上告人が遺産分割協議により債務の一切を承継した。加須市長は平成24年10月、上告人に対し納税義務承継通知書により納付を求めた。その後、平成29年1月に上告人の預金が差し押さえられ、約62万円が滞納税に配当された。上告人は延滞金約3万9000円の納付義務は認めつつ、残額約58万5000円の債権は時効消滅していると争った。 【争点】 被相続人に対して既に納付の告知がされた地方団体の徴収金について、相続人に対してされた納税義務承継通知が、地方税法18条の2第1項1号の「納付又は納入に関する告知」に該当し、消滅時効の中断効を有するか。 【判旨】 最高裁は、原審の判断を破棄し、上告人の配当処分取消請求及び金員の支払請求を認容した。 まず、地方団体の徴収金の徴収は、納付の告知→督促→差押えという段階的手続が法定されており、税額確定後に納付の告知がされた徴収金について再度同告知がされることは予定されていないとした。そして、地方税法18条の2第1項1号が納付の告知に時効中断効を認めた趣旨は、法令に基づき一定の手続と形式に従って行われる徴収手続の第一段階としての性質に着目したものであるから、時効中断効は最初の納付の告知についてのみ生じ、再度同様の通知がされてもそれは単なる催告としての効力を有するにとどまると判示した。 相続の場合、被相続人に対する納付の告知の効力は相続人に引き継がれるため、相続人に改めて納付の告知をする必要はなく、相続人保護の観点から税額等を通知したとしても単なる催告にすぎないとした。したがって、本件承継通知には時効中断効がなく、督促(平成23年1月)から差押え(平成29年1月)までに約5年11か月が経過しており、5年の消滅時効が完成していたと結論づけた。 また、金員の支払請求に係る訴えについて、原審はこれを義務付けの訴えと解して却下したが、最高裁は過誤納金の還付を求める給付の訴えと解するのが相当であり適法であるとして、約58万5000円の還付を命じた。裁判官全員一致の意見である。