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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成31行ケ10024
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2020年6月30日
裁判官
鶴岡稔彦上田卓哉石神有吾

AI概要

【事案の概要】 本件は、「小動物用酸素治療装置」に関する特許(特許第5130307号)の無効審判請求を不成立とした特許庁の審決に対し、原告(無効審判請求人)がその取消しを求めた審決取消訴訟である。被告が保有する本件特許は、ゼオライトを備えた酸素濃縮器と小動物を収容する開放型ケージから構成され、ケージに酸素濃度調整手段を設けることなく、通孔(開口部)の大きさを適切に設定することでケージ内を最適な酸素濃度に保持するという技術思想に特徴がある。従来の小動物用酸素治療装置は、気密性の高いケージにセンサやフィードバック制御等の複雑な酸素濃度調整機構を備える必要があり、構造が複雑で高価であったところ、本件発明はこれらの調整手段を不要とした点に技術的意義がある。原告は、補正要件違反(新規事項の追加)、先行文献(甲6)に基づく新規性欠如及び進歩性欠如など9つの取消事由を主張した。 【争点】 主要な争点は以下の3点である。(1)本件補正(通孔大きさ特定事項の追加及び酸素大量事項の削除)が新規事項の追加に当たり補正要件に違反するか(取消事由1)。(2)甲6の図1に記載された発明を主引用発明とする本件発明の進歩性欠如の有無(取消事由2)。原告は、排気口の大きさを供給量に対応させることは技術常識であるとして相違点Aの存在自体を争い、仮に相違点があるとしても、ペット乾燥用容器に関する甲7や小動物飼育ケージに関する甲12の技術事項を適用すれば容易想到であると主張した。(3)甲6の請求項5に記載された発明を主引用発明とする本件発明の新規性欠如の有無(取消事由6)。原告は、甲6の請求項5の発明は酸素濃度調整手段を必須の構成としておらず、通孔大きさ特定事項に相当する構成も技術常識から備えているとして、本件発明と同一であると主張した。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、原告の請求を棄却した。まず補正要件違反について、出願時明細書にはケージの容量・開口面積・供給酸素濃度・流量の具体的数値が記載されており、通孔大きさ特定事項は出願時明細書に記載されていた事項であるとした。また、酸素大量事項の削除についても、補正後の請求項は通孔の大きさの特定を通じて適切な酸素濃度の保持を定めており、少量の酸素供給の場合を排除していると解されるから、新規事項の追加には当たらないとした。進歩性については、甲6の発明を「基本発明群」と「発展発明群」の2類型に整理した上で、甲6(図1)発明ではセンサ制御が酸素濃度保持の役割を担っており、通孔の大きさで酸素濃度を調整するという技術思想の記載も示唆もないとして、容易想到性を否定した。甲7及び甲12の技術事項も特定気体成分の濃度調整を課題とするものではないため、適用しても相違点Aに係る構成を得られないとした。新規性についても、本件発明は甲6の「発展発明群」に属するのに対し、甲6(請求項5)発明は「基本発明群」に属し、技術的思想が異なるとして、相違点Bは実質的な相違点であるとした。なお、裁判所は、通孔大きさ特定事項の構成によって課題を解決するための具体的方法が明細書に十分開示されているかについては疑問を呈しつつも、それは明確性要件や実施可能要件の問題であり、本件の争点である補正要件や新規性・進歩性の判断を左右しないと付言した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。