損害賠償請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 特定非営利活動法人である控訴人が、第一生命保険株式会社(被控訴人会社)らに対し、控訴人が開発した「健康増進保険」の形態を模倣した保険商品を販売したとして不正競争防止法(不競法)2条1項3号の不正競争、控訴人の営業秘密を不正に取得・使用して保険商品を開発・販売したとして同法2条1項4号の不正競争、さらにこれらの行為により控訴人の業務を妨害したとして民法709条に基づく損害賠償として、連帯して60万円の支払を求めた事案の控訴審である。 控訴人の「健康増進保険」は、健康状態の改善に応じて掛け金が安くなる仕組みや、行動変容の促進、過去の健康関連データの閲覧機能等を備えた保険商品であった。控訴人は、被控訴人会社のグループ会社である健康少額社が類似の保険商品を販売していることを問題視し、商品概要書、普通保険約款、算出方法書、数理概要書等の営業秘密が窃取されたと主張していた。原審の東京地方裁判所は控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が知的財産高等裁判所に控訴した。 【争点】 (1) 保険商品のコンセプトや内容が不競法2条1項3号にいう「商品の形態」に該当するか。 (2) 控訴人の保険商品に関する情報が不競法上の「営業秘密」に該当し、被控訴人らによる不正取得行為があったか。 (3) 被控訴人らによる業務妨害が成立するか。 【判旨】 控訴棄却。知的財産高等裁判所は、原審の判断を維持し、控訴人の請求はいずれも理由がないと判断した。 争点(1)について、控訴人は商品の形態を知覚による認識のみならず効用の体感を含めて解釈すべきと主張したが、裁判所はこれを独自の見解であって採用できないと退けた。不競法2条1項3号の「商品の形態」は外観上認識できる形状等を意味し、保険商品のコンセプトや内容はこれに該当しない。 争点(2)について、控訴人は商品概要書、普通保険約款、算出方法書等を経済産業省(NTTデータ)以外に開示していないと主張したが、裁判所は、どの部分が不競法上の「営業秘密」に該当するかが明らかでない上、不正取得行為の具体的内容も明らかではないとした。また、控訴人が主張する事実経過を考慮しても、被控訴人らが不競法2条1項4号の不正競争行為に及んだことは推認されないと判断した。 争点(3)の業務妨害についても、上記各請求と同様に理由がないとして、控訴を棄却した。