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知財

審決取消請求事件

判決データ

事件番号
平成30行ケ10158
事件名
審決取消請求事件
裁判所
知的財産高等裁判所
裁判年月日
2020年7月2日

AI概要

【事案の概要】 本件は、抗がん剤ボルテゾミブに関する特許(特許第4162491号「ボロン酸化合物製剤」)の無効審判審決に対する取消訴訟である。特許権者であるアメリカ合衆国(A事件原告)と、無効審判を請求した高田製薬株式会社(B事件原告)の双方が、それぞれ審決の一部取消しを求めて提訴した。 ボルテゾミブは強力なプロテアソーム阻害剤として抗がん剤に用いられるペプチドボロン酸誘導体であるが、化学的に不安定で製剤化が困難であった。本件特許は、ボルテゾミブとD-マンニトールとのエステル化合物(BME)を凍結乾燥粉末の形態で提供する化合物発明(請求項17等)と、その調製方法に関する製法発明(請求項21等)を含む。特許庁の審決は、化合物発明についてはサポート要件違反を理由に特許を無効とし、製法発明については進歩性欠如及びサポート要件違反の主張をいずれも排斥して特許を維持した。 【争点】 (1) 化合物発明のサポート要件充足性(特許権者取消事由):明細書の記載から、凍結乾燥粉末の形態のBMEが相当量生成すること、及びその保存安定性・溶解容易性・加水分解容易性を当業者が認識できるか。 (2) 製法発明のサポート要件充足性(請求人高田取消事由1):審決の課題認定の誤り、及び実施例以外の液性条件でもBMEが生成されると当業者が認識できるか。 (3) 甲1発明(特表平10-510245号)に基づく進歩性欠如(請求人高田取消事由2):本件発明が甲1発明の選択発明に当たるか。 (4) 甲7発明(学術論文)に基づく進歩性欠如(請求人高田取消事由3):甲7及び周知技術の組合せにより本件発明が容易想到か。 【判旨】 知財高裁は、A事件原告(特許権者)の請求を認容し、B事件原告(高田製薬)の請求を棄却した。 争点(1)について、裁判所はまず、サポート要件の判断枠組みとして、厳密な科学的証明までは不要であり、当業者が合理的に課題解決を期待できる程度の記載があれば足りるとの規範を示した。その上で、明細書の実施例1の調製条件に照らしBMEが相当量生成すると認められること、FAB質量分析でBME形成を示す強いシグナルが確認されていること、保存安定性・溶解容易性・加水分解容易性のいずれについても当業者が認識し得る記載があることを認定し、化合物発明はサポート要件を充足すると判断した。審決の無効判断は誤りであるとして取り消した。 争点(2)について、審決の課題認定に誤りがあることは当事者間に争いがなかったが、化合物発明がサポート要件を充足する以上、その調製方法をクレームした製法発明も充足するとし、明細書の記載から調製条件は実施例1に限られないと判断した。 争点(3)について、甲1にはマンニトールが例示されておらず選択の動機付けがないこと、凍結乾燥粉末の形態は自然に存在する状態ではなく操作の結果であることから、本件発明は甲1発明の選択発明に当たらないとした。 争点(4)について、凍結乾燥が周知技術であり賦形剤としてマンニトールを選択することも周知であるとしつつ、凍結乾燥は化合物の性質を変えないために行うものであるとの技術常識から、容易想到であるのは「マンニトールを賦形剤として凍結乾燥したボルテゾミブ」であって「凍結乾燥粉末の状態のBME」とは別個の化合物であるとし、進歩性を否定しなかった。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。