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特許権侵害差止等請求事件

判決データ

事件番号
平成31ワ1409
事件名
特許権侵害差止等請求事件
裁判所
東京地方裁判所
裁判年月日
2020年7月22日

AI概要

【事案の概要】 原告は、大学医科学研究所の教授であり、がんのウイルス治療に用いる単純ヘルペスウイルスに関する特許権(「ウイルスのBamHI x断片のBstEII-EcoNI断片内の欠失を含む,単純ヘルペスウイルス」)を有している。原告は、本件特許発明に係るウイルスの具体例であるG47Δについて、悪性脳腫瘍(膠芽腫)を適応症とする第II相試験を行い、商品化を目指していた。 一方、被告(アムジェン株式会社、米国Amgen Inc.の子会社)は、本件特許発明の技術的範囲に属するT-VEC(タリモジェンラヘルパレプベク、商品名イムリジック)について、悪性黒色腫を適応症とする治験(ブリッジング試験)を国内で実施していた。T-VECは既に2015年に米国FDA及び欧州EMAの承認を受けており、本件治験は外国臨床データを日本人に外挿するための臨床試験であった。 原告は、被告の治験が原告の特許権を侵害するとして、特許法100条1項に基づくT-VECの使用差止め及び同条2項に基づく廃棄を求めた。 【争点】 主な争点は2つある。第1に、被告が行う先発医薬品の治験が特許法69条1項の「試験又は研究のためにする特許発明の実施」に当たるか否かである。原告は、最高裁平成11年判決(後発医薬品に関する試験についての判例)は後発医薬品に関するものであって先発医薬品には適用されないこと、本件治験は欧米で承認済みの薬効既知の医薬品の販売を目的とするもので技術の進歩を目的としないこと、バイオ医薬品は製品化まで長期間を要するため特許権者の利益が不合理に毀損されること等を主張した。被告は、同判決の趣旨は先発・後発を問わず妥当すること、本件特許権の存続期間中の製造販売を目的としていないこと等を主張した。第2に、被告がライセンスに基づく通常実施権を有するか否かである。 【判旨】 裁判所は原告の請求をいずれも棄却した。争点1について、裁判所は、特許法69条1項の該当性は、特許法の目的、同条の立法趣旨、医薬品医療機器等法上の規律、治験の目的・内容等を考慮しつつ、特許権者の利益と一般公共の利益との調整を図る観点から判断すべきとした。その上で、平成11年最判の趣旨は先発医薬品の治験にも妥当するとし、以下の理由を示した。第1に、T-VECの製造販売承認のためにも日本人被験者への投与による臨床試験が必要であり、後発医薬品と同様に一定期間の試験を要する。第2に、存続期間中に治験を行えないとすれば、存続期間終了後も相当期間、第三者が発明を自由に利用し得ない結果となり、特許制度の根幹に反する。第3に、被告が製造販売承認のための試験に必要な範囲を超えてT-VECを生産等するおそれをうかがわせる証拠は存在しない。また、「試験又は研究」を技術の進歩を目的とするものに限定すべき理由はないとし、仮にその要件を課したとしても、日本人における有効性・安全性を評価する本件治験は技術の進歩を目的とするものに該当するとした。さらに、特許権者が現実に利益を得ていないことや、再生医療等製品の開発に長期間を要することは、結論を左右しないとした。争点2については判断せず、原告の請求を棄却した。

※ この概要はAIが判決全文をもとに自動生成したものです。内容の正確性には十分注意していますが、誤りが含まれる可能性があります。正確な内容は原文をご確認ください。
判例データの一部は CaseLaw LOD(国立情報学研究所、CC BY 4.0)を利用しています。