損害賠償請求控訴事件
判決データ
- 事件番号
- 令和2ネ203
- 事件名
- 損害賠償請求控訴事件
- 裁判所
- 名古屋高等裁判所
- 裁判年月日
- 2020年7月30日
- 裁判官
- 始関正光、竹内浩史、西野光子
- 原審裁判所
- 名古屋地方裁判所_岡崎支部
AI概要
【事案の概要】 控訴人らは、その所有ないし居住する土地の付近で被控訴人(高速道路を建設・施工した株式会社)が施工した高速道路建設工事により、日照権が侵害されて精神的苦痛を被ったほか、所有地の価格が下落したと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審である。被控訴人は、同様の日照被害を受けた控訴人Aらに対しては、行政通達(本件通達)に基づく解決金として約169万円を支払っていたが、控訴人B・C・Dに対しては、冬至日を基準とした日陰時間が通達の定める基準(4ないし5時間)を下回るとして補償を拒否していた。原審は控訴人ら全員の請求を棄却したため、控訴人らが控訴した。 【争点】 1. 控訴人B・C・Dの日照被害が社会生活上の受忍限度を超えるか。特に、被控訴人が依拠する本件通達の基準(冬至日における日陰時間)のみで判断すべきか、年間を通じた日照被害状況も考慮すべきか。 2. 高速道路建設による控訴人A所有地及び控訴人B所有地の価格下落が不法行為を構成するか。 【判旨】 控訴審は、控訴人B・C・Dの請求をそれぞれ55万円(慰謝料50万円+弁護士費用5万円)の限度で認容し、控訴人Aの控訴は棄却した。争点1について、裁判所は、本件通達は法令ではなく裁判所の判断を拘束しないとした上で、冬至日のみを基準とする方法が合理的でない場合があることを指摘した。本件高速道路は高架構造であるため、太陽が最も低い冬至日には高架の下を日照が通過して日影時間が短くなる一方、春分・秋分の日には高架部分による日影時間が約7時間に及び、年間平均日影時間も5時間に達するという特殊な現象が生じていた。裁判所は、このように冬至日の日照被害が最大となるという一般的な前提が当てはまらない場合には、年間を通じた日照被害状況も考慮すべきであると判示した。また、被控訴人が株式会社であり行政機関ではないことから、控訴人Aらへの解決金は行政上の損失補償ではなく実質的に損害賠償の性質を有すると認定した。争点2については、高速道路建設自体は不法行為に当たらず、価格下落との関係で被控訴人のいかなる行為が不法行為に該当するか具体的に特定されていないとして、請求を退けた。