財産分与審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
判決データ
- 事件番号
- 令和1許16
- 事件名
- 財産分与審判に対する抗告審の変更決定に対する許可抗告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 裁判年月日
- 2020年8月6日
- 裁判種別・結果
- 決定・破棄差戻
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 本件は、平成12年に婚姻し平成29年に離婚した元夫婦間の財産分与に関する事案である。抗告人(元夫)名義の建物(以下「本件建物」)を相手方(元妻)が占有しており、抗告人が財産分与の審判を申し立てた。原審(東京高裁)は、本件建物等の財産を相手方に分与しないと判断した上で、抗告人に対し相手方への209万9341円の支払を命じたものの、家事事件手続法154条2項4号に基づく本件建物の明渡命令については、所有権に基づく明渡請求は民事訴訟の手続で審理判断されるべきものであるとして、これを認めなかった。そこで抗告人が許可抗告を申し立てたのが本件である。財産分与の審判において、分与しないものとされた不動産について、家庭裁判所が占有者に対し明渡しを命ずることができるか否かが争われた。 【争点】 財産分与の審判において、当事者双方がその協力によって得た一方当事者の所有名義の不動産を他方当事者が占有している場合に、当該不動産を他方当事者に分与しないものと判断したとき、家庭裁判所は家事事件手続法154条2項4号に基づき当該他方当事者に対し明渡しを命ずることができるか。 【判旨】 最高裁は、原決定を破棄し、東京高裁に差し戻した。その理由は以下のとおりである。財産分与の審判は、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定めるものであるが(民法768条3項)、これらの事項を定めるにとどまるとすると、当事者は審判内容に沿った権利関係を実現するために改めて給付を求める訴えを提起しなければならなくなる。家事事件手続法154条2項4号は、このような迂遠な手続を避け、財産分与の審判を実効的なものとする趣旨から、家庭裁判所が必要な給付を命ずることができることとしたものと解される。同号は、財産分与の審判の内容と命ずることができる給付との関係について特段の限定をしていない。したがって、家庭裁判所は、財産分与の審判において、協力によって得た一方当事者所有名義の不動産を他方当事者に分与しないものと判断した場合であっても、その判断に沿った権利関係を実現するため必要と認めるときは、同号に基づき明渡しを命ずることができると解するのが相当である。裁判官全員一致の意見による。