AI概要
【事案の概要】 日立建機株式会社(原告)は、油圧ショベルのブーム、アーム、バケット、シリンダチューブ、建屋カバー及びカウンタウエイトの部分をオレンジ色(マンセル値:0.5YR5.6/11.2)とする色彩のみからなる商標について、指定商品を第7類「油圧ショベル」として商標登録出願をした。特許庁は、本願商標が商標法3条1項3号(商品の特徴を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標)に該当し、かつ同条2項(使用による識別力の獲得)の要件を具備しないとして拒絶審決をした。原告は、1970年の設立以来約50年間にわたりオレンジ色を油圧ショベルに継続使用し、市場シェア約20%を維持してきたこと、アンケート調査で認知率97%を達成したこと等を根拠に、使用による識別力を獲得したと主張して審決の取消しを求めた。 【争点】 本願商標が商標法3条2項の「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に該当するか否か。具体的には、(1)油圧ショベルの需要者の範囲、(2)使用による自他商品識別力の獲得の有無、(3)原告による本願商標の独占使用を認めることの公益上の許容性が争われた。 【判旨】 知的財産高等裁判所は、請求を棄却した。裁判所は、単一の色彩のみからなる商標について商標法3条2項の要件を充足するためには、使用による自他商品識別力の獲得に加え、特定人による独占使用を認めることが公益上許容される事情が必要であるとの判断基準を示した。そのうえで、(1)油圧ショベルは農業・林業にも利用され、需要者には農業従事者・林業従事者等も含まれること、(2)本願商標のオレンジ色はありふれた色彩であり、色彩を付する位置もありふれていること、(3)原告の油圧ショベルの多くに著名商標「HITACHI」等の文字が付されており、色彩のみが独立して出所を表示するものとして認識されていたとまではいえないこと、(4)住友建機やクボタ等の他社もオレンジ色を油圧ショベルに使用していたこと、(5)アンケート調査は農業・林業従事者が対象から除外されており認知度の認定は限定的であることを指摘した。さらに独占適応性について、オレンジ色がJIS安全色に近い色彩であること、商標権の禁止権の範囲が広くなることを考慮し、原告による独占使用は公益上適当でないと判断した。