特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 本件は、結ばない靴ひも「キャタピラン」に係る2件の特許権の共有者4名(控訴人、被控訴人Y、B及びA)の間で生じた紛争の控訴審である。控訴人(株式会社ツインズ)は、共有者の一人である被控訴人Y及び同人が代表取締役を務める被控訴人会社(COOLKNOT JAPAN)が競合製品「クールノット」を日本で販売していることが特許権侵害に当たるとして、(1)販売差止め及び損害賠償(約1億3080万円)、(2)営業妨害を理由とする不法行為に基づく損害賠償(1億円)、(3)共同出願契約の違反条項に基づく被控訴人Yの特許持分の喪失確認等を求めた。 もともとキャタピランは、中国でAが製造しBが梱包、被控訴人Yが仕入れて香港から輸出し、控訴人が日本で販売するという商流で平成24年に販売が開始された。4者は平成25年に共同出願契約を締結し、第13条(本件定め)で「事前の協議・許可なく生産・販売行為を行った場合、各権利は剥奪される」と定めていた。ところが控訴人は平成28年4月以降、他の共有者の協議・許可なく独自に日本で靴ひもを製造販売し始め、これに対抗して被控訴人Yも同年12月に被控訴人会社を設立し、B及びAの許可を得て競合製品の販売を開始した。原審は控訴人の請求を全て棄却し、控訴人が控訴した。 【争点】 (1) 被控訴人らの販売行為が控訴人の特許権(共有持分権)を侵害するか。 (2) 被控訴人Yが共同出願契約違反により特許権の持分を喪失したか。 (3) 被控訴人らの営業活動等が不法行為を構成するか。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。まず争点(1)について、共同出願契約第7条及び第13条(本件定め)を併せ読み、各共有者は既に合意された商流に沿って発明を実施できるが、それと異なる態様での実施には事前の協議・許可が必要であると解釈した。控訴人が平成28年4月以降、従前の商流と異なり独自に製品を製造販売したことは本件定めに違反し、控訴人は特許権の持分を喪失したと判断した。持分を喪失した控訴人には、被控訴人らの販売行為について侵害を主張する根拠がない。 争点(2)について、被控訴人Yの販売は共有者B及びAの許可を得ており、控訴人は既に持分を喪失して協議・許可に関与する地位を失っていたから、控訴人の許可は不要であるとした。被控訴人Yが先に海外販売で違反したとの控訴人の主張についても、控訴人が龍帯国際から脱退した際に海外販売を包括的に了解していたと認定し、退けた。 争点(3)について、被控訴人らの各行為(最低購入数量の保証要求、値上げ、別件訴訟提起、競合製品の宣伝、元従業員の雇用、プレスリリース等)はいずれも自由競争の範囲内であり、不法行為を構成しないと判断した。