住居侵入,強盗殺人未遂,強盗殺人,窃盗被告事件
判決データ
- 事件番号
- 平成30あ318
- 事件名
- 住居侵入,強盗殺人未遂,強盗殺人,窃盗被告事件
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 裁判年月日
- 2020年9月8日
- 裁判種別・結果
- 判決・棄却
- 裁判官
- 林道晴、戸倉三郎、林景一、宮崎裕子、宇賀克也
- 原審裁判所
- 東京高等裁判所
AI概要
【事案の概要】 被告人は、職場に適応できず課金ゲーム等で借金を作り生活苦に陥り、金品強取の目的で以下の犯行に及んだ。(1)平成26年11月10日、高齢者の一人暮らしを狙い、包丁2本やバール等を持参して深夜にA方(当時93歳)に侵入し、数時間潜伏した後、起き上がったAの頭部をバールで多数回殴打し、顔面・頸部等を包丁で突き刺すなどして殺害した上、現金等を強取した(住居侵入、強盗殺人)。(2)同年12月16日、再び同様の生活苦に陥り、B方に侵入して数時間潜伏した後、近づいてきたC(当時80歳)の胸部・頸部等を包丁で突き刺して傷害を負わせ(強盗殺人未遂)、さらに逮捕を免れるためB(当時81歳)を包丁で突き刺して殺害した(強盗殺人)。(3)同月21日、飲食店から食品を窃取した(窃盗)。第1審は死刑を言い渡し、控訴審もこれを維持したため、被告人が上告した。 【争点】 (1)死刑制度の合憲性(憲法13条・36条違反の主張)、(2)被告人の軽度の広汎性発達障害及びパーソナリティ障害が量刑判断に与える影響。 【判旨(量刑)】 最高裁第三小法廷は、裁判官全員一致の意見で上告を棄却し、死刑判決を維持した。死刑制度が憲法13条・36条に違反しないことは確立した判例であるとして、違憲の主張を退けた。量刑判断については、いずれの犯行も高齢者方を狙い、家人殺害も想定して複数の凶器を準備して実行したものであり、A及びBの各殺害行為は強固な殺意に基づく執拗かつ残虐なものであると認定した。被告人が生活苦に陥った点には軽度の広汎性発達障害とパーソナリティ障害の特性が影響しており、現場に長時間とどまったことやAに対する執拗な殺害態様にも障害の特性が現れているとしつつも、強盗を決意して民家に侵入し、家人の殺害を決意・実行したことは被告人自身の意思によるものであって障害の特性によるものとはいえないと判断した。特に(1)の犯行で人の命を奪ったことを認識しながら(2)の犯行に及んだ点は、人命軽視の態度として強い非難を免れないとした。被告人の反省の念や犯行時20代半ばと若いこと等の酌むべき事情を考慮しても、死刑の科刑はやむを得ないと結論づけた。