特許権侵害差止等請求控訴事件
判決データ
AI概要
【事案の概要】 控訴人(一審原告)は、「分割起点形成方法及び分割起点形成装置」に関する特許権(本件特許)の特許権者である。被控訴人(一審被告)は、レーザエンジン(被控訴人各製品)を製造・販売しており、その一部は訴外会社に販売され、ステルスダイシング(SD)レーザソーに搭載された上で、ウェーハにレーザ光を照射して内部に改質領域を形成し、その後研削するSDBGプロセスの実行に用いられている。控訴人は、被控訴人各製品の製造・販売等が特許法101条2号の間接侵害に当たると主張し、差止め及び廃棄を求めた。原審(東京地裁)は控訴人の請求をいずれも棄却し、控訴人が控訴するとともに、当審で同条1号の間接侵害に係る主張を追加した。 【争点】 ①被控訴人各製品が特許法101条2号の「その物の生産に用いる物」に該当するか、②同号の「その発明による課題の解決に不可欠なもの」に該当するか、③特許法101条1号の間接侵害が成立するかが争われた。特に、本件発明における「分割起点形成装置」がレーザ照射装置を含むか、それとも既にレーザ光で改質領域が形成されたウェーハを加工対象とする研削装置にとどまるかが中心的な争点であった。 【判旨】 知財高裁は控訴を棄却した。まず、特許法101条2号の「その物」は本件発明に係る「分割起点形成装置」を意味するのであって、SDBGプロセス実行システム全体がこれに当たる余地はないとした。次に、特許請求の範囲の「内部にレーザ光で改質領域を形成したウェーハを分割するための分割起点形成装置」との文言から、「分割起点形成装置」は既にレーザ光で改質領域が形成されたウェーハを加工対象とする装置であり、レーザ照射装置を含むものではないと判断した。したがって、被控訴人各製品は「分割起点形成装置」の生産に用いる物にも当たらないとした。控訴人が主張する訂正の用意についても、特許法126条の訂正要件を欠くとして退けた。「課題の解決に不可欠なもの」該当性についても、本件発明の特徴的技術手段は研削手段にあり、改質領域形成手段ではないとした原審の判断を維持した。特許法101条1号の間接侵害についても、同様の理由から理由がないと判断した。